P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-12-23
マーティン・リット監督、リチャード・バートン主演の「寒い国から帰ったスパイ」は、ベルリンの壁が取り払われた今日、今いち胸を打つものは希薄になったが、スパイの非情さや薄汚さをシャープな映像感覚で捉えた佳作だ。
リアリズムに徹したジョン・ル・カレ原作のスパイ小説の映画化で、007シリーズのような痛快さはあるわけもないが、うらぶれた元英国諜報部員を演じるリチャード・バートンの味わい深い演技。
そして、冷徹なユダヤ人の防衛本部長を演じるオスカー・ウェルナーの凝った役作りなどは見ものだ。
全編にわたって、張り詰めた緊張感が魅力になっている作品だ。