P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2024-05-14
「インディー・ジョーンズ」シリーズの大ヒットに便乗して企画された、この「キング・ソロモンの秘宝」は、昔懐かしの”連続大活劇”で、かつて、ハラハラ、ドキドキしながら徹夜で読んだヘンリー・ライダー・ハガードの大冒険ロマン小説の映画化だ。
古代イスラエルの王ソロモンが所有したと言われる、金銀財宝をめぐって繰り広げられる”愛と冒険の物語”。
この秘宝に魅せられた冒険家、消息を絶った父を探す美女、悪徳軍人、更に人喰い人種などなど、この手の映画に欠かせない要素が勢揃いしている。
そして、出来栄えはというと、危機また危機の連続活劇に仕立ててあって、これは「レイダース」や「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」の完全な真似ではあるが、あれよあれよと話が展開していき、これはこれで結構面白い。
「ナバロンの要塞」「マッケンナの黄金」と、アメリカ映画界では連続活劇の大御所J・リー・トンプソン監督が、一時期はもう消滅したかと思われたエネルギーを猛然と盛り返して、手に汗握るスペクタクル・アクションを楽しませてくれる。
これは、当時、キャノン・フィルムを設立して、チャールズ・ブロンソンやチャック・ノリスと組んでヒット作を連発し、とにかく楽しくて面白い映画を我々映画ファンに提供し続けた、イスラエル出身のメナハム・ゴーランとヨーラン・グローバスの二人の製作者のアイディアの勝利だろう。 ただし、その代わり、キング・ソロモンの洞窟にまつわるミステリアスなロマンの綾が小さくなっていると思う。 これはヒロインの姿にも言えることで、連続活劇のヒロインとしても、この映画でのじゃじゃ馬の勝ち気な暴れ娘というキャラクターでは、かつてのデボラ・カーの気品やソフィスティケイションは望むべくもない。 確かに、演じているシャロン・ストーンも悪くはないが、デボラ・カーや「ロマンシング・ストーン 秘宝の谷」のキャスリーン・ターナーには及ぶべくもないのだ。 これは、ヒーローのリチャード・チェンバレンにも言えることだ。 ただ、そうは言っても、映画が始まるや否や、いきなり本題に入ってぐんぐん引っ張っていく、J・リー・トンプソン監督の演出のパワーは、やはり映画ならではの醍醐味を見せてくれる。