帰郷(1978) 感想・レビュー 2件

ききょう

総合評価5点、「帰郷(1978)」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
なし
投稿日
2024-07-03

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

戦友の自殺による、男の反戦抗議行動をきっかけに、抑えた女の愛が堰を切るのですが、その夜の二人の交わりの切ない激しさと優しさ。
それは、見事に感動的な官能描写だと思う。

そこへ、片足を軽く引いて、夫が帰って来ます。
彼もまた、戦場で傷つき、しかし肉体以上に、英雄志向の精神をぼろぼろに痛めつけられての帰還なのです。

彼は、栄誉の勲章を授けられますが、けれども妻の不貞を知らされて、彼が選ぶのは、軍服も結婚指輪も捨てての、敗北の死なのです。

1968年代のヒット曲が全編に流れ、風俗的なムードをかき立て、ハスケル・ウェクスラーの感覚的で詩的なカメラによる映像がこよなく美しく、男と女の通俗的なメロドラマ風の装いの中に、「帰郷(COMING HOME)」という題名の重さが光る秀作だと思う。

尚、この作品は、1978年度の第51回アカデミー賞で最優秀主演男優賞(ジョン・ヴォイト)、最優秀主演女優賞(ジェーン・フォンダ)、最優秀オリジナル脚本賞を、また同年のゴールデン・グローブ賞で最優秀主演男優賞・主演女優賞(ドラマ部門)を、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を、NY映画批評家協会賞で最優秀主演男優賞を、そしてLA映画批評家協会賞で最優秀作品賞・主演男優賞・主演女優賞を、それぞれ受賞しています。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-07-03

ヴェトナム戦争のさなか、いいようもなく暗い虚無の”厭戦”気分を沈ませていたアメリカ映画が、今は目覚めるばかりの鮮烈さで、真摯に知的な”反戦”ドラマを描き上げた作品、それがこの秀作「帰郷」なのです。

それは、いまさらの告発でも、低迷の後遺症でもない。
確信の”思想”なのだと思う。
その貫く思想に、豊かな情感を込めて、戦争の悲劇を、男女の三角関係の中に凝視していくのです。

戦火は遠いかなたの、陽光の南カリフォルニアで、海兵大尉の夫(ブルース・ダーン)を前線に送り出した妻(ジェーン・フォンダ)は、知り合いの勧めで基地付属病院で無料奉仕を始め、無残な傷病兵の現実に接する時、高校時代の同級生で、今は下半身マヒの重症患者(ジョン・ヴォイト)と再会します。

絶望にいらだち、かたくなに心を閉ざすこの戦傷軍曹は、しだいに彼女の優しさにほぐれていき、車椅子の社会復帰訓練に希望を持つようになっていくのです。
そして、愛の告白と、抱擁と--------。

最終更新日:2024-07-13 16:00:01

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