P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- なし
- 投稿日
- 2024-07-03
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
戦友の自殺による、男の反戦抗議行動をきっかけに、抑えた女の愛が堰を切るのですが、その夜の二人の交わりの切ない激しさと優しさ。
それは、見事に感動的な官能描写だと思う。
そこへ、片足を軽く引いて、夫が帰って来ます。
彼もまた、戦場で傷つき、しかし肉体以上に、英雄志向の精神をぼろぼろに痛めつけられての帰還なのです。
彼は、栄誉の勲章を授けられますが、けれども妻の不貞を知らされて、彼が選ぶのは、軍服も結婚指輪も捨てての、敗北の死なのです。
1968年代のヒット曲が全編に流れ、風俗的なムードをかき立て、ハスケル・ウェクスラーの感覚的で詩的なカメラによる映像がこよなく美しく、男と女の通俗的なメロドラマ風の装いの中に、「帰郷(COMING HOME)」という題名の重さが光る秀作だと思う。
尚、この作品は、1978年度の第51回アカデミー賞で最優秀主演男優賞(ジョン・ヴォイト)、最優秀主演女優賞(ジェーン・フォンダ)、最優秀オリジナル脚本賞を、また同年のゴールデン・グローブ賞で最優秀主演男優賞・主演女優賞(ドラマ部門)を、カンヌ国際映画祭で主演男優賞を、NY映画批評家協会賞で最優秀主演男優賞を、そしてLA映画批評家協会賞で最優秀作品賞・主演男優賞・主演女優賞を、それぞれ受賞しています。