吸血鬼ブラキュラ 作品情報
きゅうけつきぶらきゅら
黒人王子マモールデ(ウィリアム・マーシャル)が、その妻ルーパ(ヴォネッタ・マギー)と共にドラキュラの呪いを受けて吸血鬼になったのは1783年、王子が奴隷制度廃止の嘆願書にサインしてくれるよう彼に頼んだときだった。それから2000年近く、黒い肌の吸血鬼ブラキュラは眠り続けていたのである。その棺の蓋を開けたのは室内装飾家ビリー(リック・メツラー)とボビー(テッド・ハリス)の2人。そのために眠りをさまされたブラキュラに血を吸いとられた末、命をおとしたのであった。そのボビーの変死体に不審を抱いたのは警察所属の病理学者ガードン・トーマス(タルマス・ラスララ)である。婚約者であり仕事の部下でもあるミシェル(デニス・ニコラス)とその姉ティナ(ヴォネッタ・マギー)に案内されて葬儀屋のスウェンソン(ランス・テイラー・シニア)の所へ行き、その傷あとを発見したのだが、死体には血液が一滴もなかったという言葉が彼の疑惑を深めた。その頃ブラキュラは偶然見かけたティナがかつての妻ルーバにあまりにも似ているのに呆然とし、彼女を追ううちに車にぶつけられ運転していた女ファニタに襲いかかった。こうして第3の犠牲者が生まれた。ファニタの死体を調べたゴードンは、彼女の首もとにボビーと同じ傷あとを発見し、かたわらのピータース刑事(ゴードン・ピンセント)に報告した。その夜、ゴードンティナ、ミシェルの姉妹は、ミシェルの誕生日を祝うためエチオピア・クラブにきていた。黒い肌の民族特有のさまざまな装飾品でかざられたそのクラブでティナとブラキュラは対面した。静かな気品と威厳のこもる彼の態度にティナは心を許したが、クラブ専属の女性キャメラマン、ナンシー(エミリー・ヤンシー)が2人の姿を撮影したとたんブラキュラは烈火の如く怒り、驚くティナを残して飛び出していった。第4の犠牲はナンシーだった。ティナのアパートにブラキュラが訪れたのはその後ほどなくだった彼女への愛をおさえきれなくなっていた彼は、呪われた自分の運命を彼女に告白し、吸血鬼となって今後、生活を共にしてくれと頼むのだった。一方、ゴードンとミシェルは疑惑を解決するために、まずビリーの墓を掘り起こしたが、すでに吸血鬼と化していたビリーに襲われた。ゴードンたちはどうにか難を逃れたものの、ファニタまでが吸血鬼となり、彼らに襲いかかってきたため、とっさの思いつきでファニタの顔に十字架を押しあて、滅ぼした。これによって吸血鬼は姿を消したとピータースは安心したが、ゴードンはそれが信じられずティナを捜し廻った。その頃ブラキュラはテレパシーの力を使ってティナを大きな地下の迷路に導き込んでいた。それを追ってゴードンたちが入っていったが。彼女の心は不思議な魔力に正気を失っていた。それは、ブラキュラと行動を共にすることに無上の幸せを感じている表情だった。ようやく逃げる2人の姿を発見した警官のひとりが発砲した。その弾丸がティナに命中したために、ブラキュラはティナを吸血鬼にすることによって死から守ろうと、その鋭い牙で彼女の白いノドもとにくいついた。やっとのことでブラキュラの棺を発見したゴードンたちは蓋を開け、眠っている死体の胸に杭をつきさした。しかしそれはブラキュラではなくティナだった。愛人を再び失った。ブラキュラはもはや復讐の意志をなくし、静かに階段を登ると朝日の光の中に消えた。ゴードンたちが、そのまばゆい光の中に発見したのは、ぼろぼろになった骸骨をおおう1枚のケープだけだった。
「吸血鬼ブラキュラ」の解説
台頭めざましいブラック・シネマで、吸血鬼ドラキュラの物語を現代の黒人社会に持ち込んだ、黒いスリルとサスペンスの恐怖映画。製作総指揮はサミュエル・Z・アーコフ、製作はジョセフ・T・ナー、監督はTVで「モッズ特捜隊」を手がけたウィリアム・クレイン、脚本はジョアン・トーレスとレイモンド・コーニング、撮影はジョン・スティーヴンス、音楽はジーン・ページ、編集はアラン・ジェイコブスが各々担当。出演はウィリアム・マーシャル、ヴォネッタ・マギー、デニス・ニコラス、タルマス・ラスララ、ゴードン・ピンセント、チャールズ・マコーレイ、エミリー・ヤンシー、ランス・テーラー・シニア、テッド・ハリス、リック・メツラーなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1973年6月16日 |
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配給 | ワーナー映画 |
制作国 | アメリカ(1973) |
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