影なき狙撃者 作品情報

かげなきそげきしゃ

1952年朝鮮戦争の最中、ベン・マーコ大尉(フランク・シナトラ)の小隊は、ガイドのチュンジンの裏切りで中共軍の捕虜となった。そこで、心理学者イェン・ローの研究する洗脳の実験体にされたのは、レイモンド・ショウ軍曹(ローレンス・ハーヴェイ)だった。ショウはトランプ占いのハートのクイーンが出た時には催眠術で夢遊状態におかれ、その時に言われた言葉通りの行動を起こすように暗示された体にされた。やがて彼らは、本国に送還された。マーコはワシントン諜報部に勤務したが、不思議な夢ばかりを見続け、その夢の意味が分からないまま、1月の休暇をとった。その時、彼は、ロージ・チェニー(ジャネット・リー)という女性と知り合った。ショウは継父のアイスリン上院議員と母を嫌ってニューヨークで新聞記者となった。母は夫を大統領にさせようといろいろと手段をこうじていた。一方、マーコは夢の原因を探ろうと、心理学者や脳外科の診察を受けた。その結果、中共で洗脳の実験にされたことが分かり、だれかが中共のレポとなっているということが分かった。ワシントン諜報部では事の重大さにCIA、FBIを動員して帰還兵をあらった。マーコはショウとの交際を命じられた。ある晩、マーコとショウが酒場で飲んでいる時、トランプのクイーンを見たショウを夢遊病のごとき状態となった。そんなショウを見てマーコは不思議に思った。一方、ショウの母親は、夫のアイスリンを副大統領に司令するためパーティーを開いた。が、彼と対立するジョーダン議員は頑強に反対した。彼の娘ジョシーは、ショウと結婚していた。その晩、ジョーダンとジョシーは、何者かに射殺された。マーコはある日、テレビを見ていて“はっ”となった。奇術師の催眠術を見ていた時だった。マーコは早速ショウを部屋に呼び、トランプを見せながらいろいろな実験をやった。そしてトランプ催眠術のすべてを暴露した。ショウはその時、初めて自分が妻とその父親を殺したと知って愕然とした。やがて党大会が始まろうとしていた。ショウは母親に呼ばれた。そしてトランプ占いをさせられた。ショウは呆然となった。母が中共のスパイとなって自分を操っていたのだ。母は父と対立ある人物を党大会で射殺せよと命じた。ショウは催眠術にかかったふりをした。そしてその当夜がやってきた。ショウは怒りをこめて母と父を射殺し、自殺した。やがてマーコが駆けつけた時はすべてが終わっていた。

「影なき狙撃者」の解説

無意識に殺人を犯す男の悲劇を描きベストセラーとなったリチャード・コンドンの小説を「終身犯」のジョン・フランケンハイマーと、「ティファニーで朝食を」のジョージ・アクセルロッドが脚色し、フランケンハイマーが監督したサスペンス・ドラマ。撮影はライオネル・リンドン、音楽はデイヴィッド・アムラム。出演者は「荒野の3軍曹」のフランク・シナトラ、「肉体のすきま風」のローレンス・ハーヴェイ、「サイコ」のジャネット・リー、レスリー・パリッシュ、アンジェラ・ランズベリーなど。製作はジョージ・アクセルロッドとジョン・フランケンハイマー。

公開日・キャスト、その他基本情報

配給 ユナイテッド・アーチスツ
制作国 アメリカ(1962)
上映時間 129分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2025-04-17

「影なき狙撃者」は、初期の「終身犯」や「5月の7日間」や「大列車作戦」、後期の「フレンチ・コネクション2」や「ブラック・サンデー」などの骨太な社会派サスペンス映画で、我々映画ファンを楽しませてくれた、ジョン・フランケンハイマー監督が、若かりし頃に撮った秀作です。

この映画の時代背景は、朝鮮戦争の頃。
1950年代というのは、まさにアメリカとソ連の東西冷戦の時代でした。
それぞれの本土で戦ってはいないものの、朝鮮半島を舞台にして、代理戦争を行なっていたわけです。

この時代の米ソの対立は、凄まじいものがあります。
ハリウッド映画界でも、かの有名なマッカーシー上院議員を中心とした、「赤狩り」の嵐が吹き荒れていました。
共産主義者は、まるで悪魔のように思われていた時代でした。

この朝鮮戦争下において、中共軍に捕らえられてしまったアメリカ軍兵士が、暗殺者に仕立てられてしまうというストーリーです。
現在の時点で観てみると、それほどもの凄いアイディアではないのですが、恐らく、この映画が製作された当時は、画期的だったのではないでしょうか。

あまり詳しいことは書けませんが、小道具としてトランプが使われていて、効果的であると同時に「影なき狙撃者=トランプ」という連想が、記憶に深く刻まれてしまうほどのインパクトがあります。

この映画の主人公は、ベネット・マーコ(フランク・シナトラ)とレイモンド・ショウ(ローレンス・ハーヴェイ)という二人の軍人です。

シナトラは格闘シーンがあるのですが、ぶっつけ本番だったので、右手の親指を骨折するという怪我をしたというエピソードが残っています。
やはり、きちんとリハーサルをして本番に臨まないと、怪我をしてしまうということなんですね。

ハーヴェイは、セントラルパークの池に飛び込むシーンがありますが、撮影時は厳冬で、彼はスタッフが氷を取り除いた、水温マイナス9度の池にダイビングしたそうです。
ほんとに、俳優とは大変な職業だなとつくづく思いますね。

ストーリーもハラハラ、ドキドキの連続で、出演者たちの熱演、そして最高にスリリングな展開で、極上の政治サスペンス映画に仕上がっていると思います。

最終更新日:2025-04-27 16:00:01

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