喝采(1954) 感想・レビュー 1件

かっさい

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P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2025-04-17

グレース・ケリーの短いハリウッドでのスター人生において、アルフレッド・ヒッチコック監督の手による「裏窓」と「泥棒成金」の2作品の間に位置し、そしてアカデミー主演女優賞を彼女にもたらしたのが、この映画「喝采」だ。

ブロードウェイのヒット戯曲の映画化であるこの作品は、モノクロフィルムによる作品ですが、それとは関係なしに、ヒッチコック作品の時のグレース・ケリーとは、まるで違う彼女の一面を楽しめる作品だと思う。

物語は、かつては人気エンターテイナーであったが、今はアル中となってしまった夫(ビング・クロスビー)とその妻(グレース・ケリー)。

ある日、夫に舞台の主役の話が転がり込む。
なんとか立ち直ってもらおうと献身的に尽くす妻だったが、夫は舞台の悪評に落ち込むばかり。
そんな時、若き演出家(ウィリアム・ホールデン)は彼女に抱いていた熱い想いを告白するのだった------。

簡単に言ってしまえば、バックステージものの三角関係のドラマ。
とはいえ、グレース・ケリーをはじめ、ビング・クロスビー、ウィリアム・ホールデンというベストなキャストによる名演で、多くの映画ファンの心をつかんだ傑作だと思う。

この作品でのグレース・ケリーは、ヒッチコック作品の彼女とはまるで別人のような感さえしてきます。
ヒッチコックが愛したグレースは、ここにはいません。
ここにいるのは、決して本心を見せない”冷淡で暗い”人妻なのです。

彼女は、人生に疲れながらも恋に揺れ動く。
映画の中盤でその苦渋の思いを、ウィリアム・ホールデン扮する若き演出家にぶつけるシーンのグレースの演技は圧巻だ。

いくら女は強いといわれても、それは最終的に頼ることのできる男がいる上でのことだと思わずにはいられない。
今も昔も、女の本質は変わっていないのだと思う。

最終更新日:2025-04-27 16:00:01

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