P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-05-17
ジョン・ウェイン扮する「勇気ある追跡」の主人公ルースター・コクバーンが再登場する西部劇「オレゴン魂」。
大酒飲みで左眼に眼帯、犯罪者は容赦なく射殺する保安官ルースター・コクバーンが再登場。
白髪が増えたが、相変わらず同居人の中国人に世話を焼かれ、将軍という名の猫も健在だ。
相変わらずの逮捕ぶりで、何人殺したか覚えていないと詰問され、パーカー判事(ジョン・マッキンタイア)からバッジを取り上げられるが、騎兵隊を皆殺しにしてニトログリセリンを奪った、ホーク(リチャード・ジョーダン)一味を生け捕りすれば、賞金2000ドルと終身保安官にするという条件で追跡の旅に出るのだった。
古き善き西部劇というものがあるとすれば、1950年代が全盛期で、ジョン・ウェインがオスカーを獲った「勇気ある追跡」は、その終焉を飾る名作だった。
その続編を作ったのは、ハリウッドの名優に最後の華を咲かせたいという周辺の配慮があったからこそ。
そのためには、相手役が大切で、ハリウッドの盟友でありながら、共演したことがない名女優のキャサリン・ヘプバーンに白羽の矢が立った。
監督のスチュアート・ミラーはプロデューサーとして有能で、二人の初共演と「勇気ある追跡」のいいとこどりをして完成したこの作品は、アメリカでは、公開前から評判を呼び大ヒットを記録。 ただし、クオリティに関しては、前作の二番煎じの域を超えられる筈もなく、かなりどこかで観たことがあるシーンや破綻のある展開が目立っている。 それでも、勝ち気で愛らしい修道女に扮したキャサリン・ヘプバーンが登場し、ジョン・ウェインと共に旅をするうちに、打ち解けていく様は、まるで熟年夫婦を観るようで微笑ましいものがある。 大男のウェインが、ヘプバーンに言い負かされ、大人しく従う姿は、ほのぼのとしたムードが漂い、魅了されてしまう。 ジョン・ウェインは、翌年の「ラスト・シューテスト」が遺作となったが,キャサリン・ヘプバーンは、その後も大活躍したのは周知のとおりだ。 ストローザー・マーティン、リチャード・ジョーダン、アンソニー・ザーブなどに囲まれて、はまり役を全うしたジョン・ウェインにとって、本当の意味での最後の作品と言えるだろう。