お熱い夜をあなたに 作品情報
おあついよるをあなたに
アメリカの大実業家ウェンデル・アームブラスター・ジュニア(ジャック・レモン)は父急死の報に接して、取るものも取りあえずローマへ飛ぶ。アマルフィ海岸沖にあるイスキア島へこの10年間、毎夏保養に来ていた初代社長の父が、自動車事故で不慮の死を遂げたのだ。この旅で彼はイギリス娘のパメラ・ピゴット(ジュリエット・ミルズ)と知り合うが、何故か彼女は彼のことをよく知っていた。直ちに父の死骸を引き取り、火曜日には社葬を行なう手筈だ。ところがホテルに到着すると、たちまちこの計画は、イタリア式官僚主義に阻まれ頓挫してしまう。今は週末で、どのお役所も休みだという。ウェンデルはすべての手続きをホテルの支配人カルロ・カルーチ(クライヴ・レヴィル)に一任し、サテ、と見廻してみると、不思議なことに気付く。父の優雅な部屋に、女の気配があるのだ。カルーチを問いつめたウェンデルはガク然とする。自動車事故には父の他にもう1人道連れがあり、それがパメラ嬢の母だという。しかもこの両人、夫婦と称して毎年このホテルで夏のバカンスを楽しんでいた仲だと聞いて、またまたびっくり。その夜、カルーチの計らいで自由に人生を楽しんだ亡き老カップルの優雅なテーブルがしつらえられた。内には口やかましい女房、外には苛酷な社長業。おまけに胃潰瘍までかかえているウェンデル。それにひきかえ、オヤジは密かに女と人生を楽しんでいた…。ウェンデルは知らず知らずのうちに、イタリア式人生の楽しみ方に感化されてきた。やがてパメラがすっかり調子をあげ、桟橋へ下りていきドレスを脱ぎ捨てると、海へ飛び込んだ。ウェンデルも後を追い、やがて2人は沖合いの岩礁に裸身を横たえる…。パメラとウェンデルの仲は、自然発生的に進展する。2人の姿をカメラに納めたのが、ボーイのブルーノ(ジャンフランコ・バッラ)だ。暗黒街に関係してアメリカ追放を喰ったブルーノが、古巣懐かしさと妊娠したシシリア生まれの恋人アンナ(ジゼルダ・カストリーニ)から逃げ出そうと、ウェンデルにアメリカに連れて行ってくれと頼む。これを、メイドをしているアンナが立ち聞きしたからたまらない。アンナはブルーノを殺してしまう。カルーチはホテルの名誉を守るため極秘に死体を運び出し、パメラをウェンデルの部屋に移す。魅惑的なイスキアの夜、ベッドは恋人たちによって占められた。ただし今度は死者の子供たちによって…。どうせ死骸の搬出許可がでなければ、帰れないのだ、後二、三日全力をあげて楽しもう。しかもパメラが望むように、ここに亡き2人を葬ろうかとも考えるウェンデルだった。そんなムードの2人の間に割り込んできたのが、国税省のJ・J・プロジェット(エドワード・アンドリュース)。あまりのスロー・テンポに業を煮やしたウェンデルの妻が、ヨーロッパ出張中のJ・Jに、泣きついたのだ。彼がローマ大使館員に任命し、死者をアメリカとイタリアの税関をフリー・パスさせる手筈を整えた、というのだ。遺体運び出しまで数時間しかない。カルーチは提案する。幸いここにブルーノの死体がある。自分の家の墓地を提供してもよい、と。ウェンデルは決断した。泣いて喜ぶパメラと共に、父と彼女の母をカルーチ家の墓地へ葬る。そして、あれほどアメリカに帰りたがっていたブルーノの遺体は、アームブラスター一世の遺骸として、丁重に米空軍のヘリコプターへ移された。J・J がせきたてるなか、ウェンデルとパメラは万感の想いを込めて別れを告げる。そこにカルーチが囁いた。「あのお部屋は8月15日から30日まで空いております」。
「お熱い夜をあなたに」の解説
父の急死によって初めて人生の楽しみ方を知る男の物語。製作・監督は「シャーロック・ホームズの冒険」のビリー・ワイルダー、サム・テイラーの戯曲をワイルダーとI・A・L・ダイアモンドが脚色。撮影はルイジ・クヴェイレル、音楽はカルロ・ルスティケリ、編集はラルフ・E・ウィンタースが各々担当。出演はジャック・レモン、ジュリエット・ミルズ、クライヴ・レヴィル、エドワード・アンドリュース、ジャンフランコ・バッラ、フランコ・アングリザノ、ピッポ・フランコ、フランコ・アカンポラ、ジゼルダ・カストリーニなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1973年5月12日 |
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配給 | ユナイト映画 |
制作国 | アメリカ(1973) |
上映時間 | 140分 |
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