愛と追憶の日々 作品情報
あいとついおくのひび
テキサス州ヒューストン。48年、赤ん坊のエマを心配そうにみる母親のオーロラ(シャーリー・マクレーン)。56年、夫が死亡し、心細くなったオーロラはエマのベッドにもぐり込む。64年、隣家に宇宙飛行士のギャレット・ブリードラヴ(ジャック・ニコルソン)が、引越して来た。69年、エマ(デブラ・ウィンガー)は自室で親友のパッツィーと一緒にマリファナをふかしている。明日はエマが結婚する日だ。だがオーロラは娘の夫となるフラップ・ホートン(ジェフ・ダニエルズ)が気にくわない。「大学教師では先が知れている。娘の人生はこれで台なしになってしまう」というのだ。ついにオーロラは結婚式にも出席しなかった。結婚式の翌日、娘にそむかれたという思いのオーロラが、窓から覗くと、隣のギャレットが女をつれて家の中に入って行った。パーティでエマは妊娠したことを告げるが、オーロラは喜ばない。70年、フラップはアイオワ州デ・モインの大学に迎えられることになり、エマはオーロラ、パッツィーに別れを告げる。ヒューストンでは、オーロラがふとしたことから、ギャレットと会話をかわし、昼食に誘われた。78年、エマは3度目の妊娠で家計が苦しくなり、オーロラに少し金を貸してくれないかと頼むが、オーロラは拒否する。5歳になった次男のテディが、パパが帰って来たと告げる。今日も朝帰りだ。図書館でいねむりしたと弁解するフラップに、くってかかるエマ。スーパーのレジで金が足りず、恥かしい思いをしでいるエマに中年男のサム(ジョン・リスゴー)が助け舟を出してくれた。サムは銀行の貸付け係であった。ヒューストンでは、オーロラが8年前の昼食の誘いを受け入れ、デートする。やがて、エマはサムと、オーロラはギャレットと浮気をした。フラップはネブラスカ州リンカーンにあるカーニー州立大の英文学部長の職をオファーされた。エマは大学のキャンパスで、夫が女子大生と親しそうに話をしているのを見て怒りを爆発させ、長男のトミー、次男のテディ、長女のメラニーをつれてオーロラのところへもどった。しかし、夫の電話でエマは帰り、一家はリンカーンに移る。エマは医者の診察を受け、悪性の腫瘍とわかった。パッツィーはエマをニューヨークにつれて行き、ニューヨーク見物をさせた。リンカーンにもどって病院に入るエマ。病状が悪化し、息子2人に別れを告げたエマは、間もなく死亡した。トミー、テディ、メラニーは祖母であるオーロラが育てることになった。
「愛と追憶の日々」の解説
母と娘の30数年間に及ぶ愛情関係を描くドラマ。TV出身で、かつて「結婚ゲーム」(79)を脚色し製作に当ったジェームズ・L・ブルックスが製作・監督・脚本を手掛けている。共同製作者はペニー・フィンケルマンとマーティン・ジュロー。原作はラリー・マクマートリーの同名小説。撮影はアンジェイ・バートコウィアク、音楽はマイケル・ゴア、編集はリチャード・マークスが担当。出演はデブラ・ウィンガー、シャーリー・マクレーン、ジャック・ニコルソン、ジェフ・ダニエルズなど。日本版字幕は戸田奈津子。メトロカラー、ビスタサイズ。1983年作品。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1984年2月25日 |
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配給 | パラマウント映画=CIC |
制作国 | アメリカ(1983) |
上映時間 | 132分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-17
母と娘。ごく普通のアメリカの女二人。
母は娘を愛し、娘の選んだ結婚の相手を嫌い、時に慰め合い、時に罵り合い、長距離電話をかけ合う二人。
さりげない日常生活のリアリティが、なまじっかメロドラマ仕立てに粉飾をした物語より、遥かに心の奥深く、人生の真実を語りかけてくるのだ。
母がシャーリー・マクレーン。娘がデブラ・ウィンガー。
このシャーリー・マクレーンが、実に良い。
表面上の新鮮さだけを売りものにして、スターと称する女性が多い中、まさにこれが、本物の”女優”と言える、繊細な心理表現と華麗な存在感を見せて、我々観る者の胸をときめかせるのだ。
彼女の隣に住み、恩給で自堕落な生活を送っている、元宇宙飛行士がジャック・ニコルソン。 過去の栄光、その残照にすがる事しか生きる術がなく、それでいて優しい心で彼女を包む彼。 「イージー・ライダー」で彼が演じた、さ迷えるインテリという、その原点に返って、素晴らしい味わいだ。 やがて、娘の死による人生の別離。 ここでも、淡々とした描写は変わらないのだが、それだけに現実感もひとしおで、人の世の哀しみが胸に染みて泣かせる。