影の軍隊 作品情報

かげのぐんたい

フィリップ・ジェルビエ(L・バンチュラ)は、ある日、独軍に逮捕され、キャンプに入れられてしまった。そして数ヵ月後、突然、ゲシュタポ本部へ連行されることになった。だが、一瞬のすきをみて、そこを脱出した彼は、その後、抵抗運動に身を投じることとなった。そうしたある日、彼はマルセイユに行き、フェリックス(P・クローシェ)、ル・ビゾン(C・バルビエ)、ルマスク(C・マン)等と一緒に裏切り者の同志ドゥナ(A・リボール)の処刑に立ちあった。その後に、彼は、ジャン・フランソワ(J・P・カッセル)に会った。ジャンの仕事は、名高いパリの女闘士マチルド(S・シニョレ)に、通信機をとどけることだった。彼はそのついでに、学者である兄のリュック・ジャルディ(F・ムーリッス)を訪ねたが、芸術家肌の兄を心よくは思わなかった。一方、新任務のためリヨンに潜入したジェルビエのところへやって来たのは、意外にもジャンの兄のジャルディだった。やがて無事、その任務を果したジェルビエのところへフェリックス逮捕さる、の報が伝えられた。さっそく、救出作戦を展開したが、ジャンの犠牲も空しく、失敗に終ってしまった。ジェルビエが再び逮捕されたのは、それから間もなくであった。独軍の残虐な処刑に、もはや最後と思っていた彼を救ったのは、知略にすぐれたマチルドであった。それからしばらくたった頃、隠れ家で休養をとっていたジェルビエを、ジャルディが訪ねて来た。彼の来訪の目的はマチルドの逮捕されたことを告げるためと、口を割りそうな彼女を、射殺するということだった。現在、仮出所中の彼女も、それを望んでいる、と彼は伝えた。ある日、エトワール広場を一人歩く彼女に、弾丸をあびせたのは、彼女を尊敬するジャルディ、ジェルビエ、ル・ビゾン、ルマスク等仲間たちだった。しかし、遅かれ早かれ、彼等の上にも、同じような運命が待ち受けているのだった。

「影の軍隊」の解説

独軍占領下のフランスで、第二次大戦中、悲劇的な抵抗運動に命をかけたレジスタンス闘士たちのエピソードをつづった作品。製作はジャック・ドルフマン。ジョゼフ・ケッセルの原作を、「ギャング」のジャン・ピエール・メルヴィルが脚色し、自ら監督した。撮影はピエール・ロム、美術はテオバール・ムーリッス、音楽はエリック・ド・マルサンがそれぞれ担当。出演は「ベラクルスの男」のリノ・ヴァンチュラ、「ギャング」のポール・ムーリッス、ほかに、シモーヌ・シニョレ、ジャン・ピエール・カッセル、クリスチャン・バルビエ、ポール・クローシェ、クロード・マン、アラン・リボールなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1970年5月30日
キャスト 監督ジャン・ピエール・メルヴィル
原作ジョゼフ・ケッセル
出演リノ・ヴァンチュラ ポール・ムーリッス ジャン・ピエール・カッセル シモーヌ・シニョレ クリスチャン・バルビエ ポール・クローシェ クロード・マン アラン・リボール
配給 東和
制作国 フランス(1969)
上映時間 140分

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ユーザーレビュー

総合評価:4.67点★★★★☆、3件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-12

ジャン=ピエール・メルヴィル監督の「影の軍隊」は、正確に言えば、フィルム・ノワールではないと思う。

レジスタンスに身を投じた人間たちの姿を、セミ・ドキュメントタッチで綴った、社会派サスペンスだと思う。

だが、この映画の全篇を覆う、ダークな色調。
指名を果たすためには、愛するもの全てを捨てなければにらない非情な世界で、自己を引き裂かれ葛藤する男たちや女たち。

彼らの胸中をふさぐ悲哀と情念のたぎりは、まさにフィルム・ノワールの世界そのものだ。
とにかく、ジャン=ピエール・メルヴィル監督の簡潔で、切れ味鋭い演出の技が冴え渡った映画だ。

最終更新日:2024-05-22 16:00:02

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