サンセット大通り 作品情報

さんせっとおおどおり

ハリウッドのサンセット大通りに面するある邸宅のプールに、若い脚本家ジョー・ギリス(ウィリアム・ホールデン)の死体が浮かんだ。死んだ彼はそのいきさつを語る……。失職ライターのジョーは、映画会社への脚本売り込みも意の如く進まず、貧窮のどん底にあった。ある日月賦の払込み不足から自動車会社の男に追いかけられたジョーは、サンセット大通りにある荒れ果てた邸宅に逃げ込む。そこにはサイレント映画の大女優ノーマ・デスモンド(グロリア・スワンソン)が、かつての監督であり、最初の夫だったマックス・フォン・マイアリンク(エリッヒ・フォン・シュトロハイム)を執事として、過去の夢に生きていた。ジョーが脚本家だと知ると、ノーマは主演を念願している「サロメ」のシナリオを書くように、とジョーを邸に泊めさせることにした。若いジョーにとって、この妄想狂の老女の相手は空虚な生活に違いなかったが、ずるずるとその位置にはまり、ノーマと抜きさしならない関係に落ち込んでゆく。ある日、パラマウント撮影所からノーマに電話がきて、出演の機会が来たとノーマは勇んでセシル・B・デミルに面会に出かける。しかし用件とは、ノーマ所有の古自動車をクロスビー主演の映画に使いたいので貸して欲しい、とのことだった。ノーマを待つうち、偶然顔見知りの脚本部員ベティ・シェイファー(ナンシー・オルソン)に出会ったジョーは、ノーマとの醜い関係の反動で清純なベティの美しさに惹かれ、2人でシナリオを共作する約束をする。毎夜彼女の部屋で仕事を続けるうち、若い2人は自然に結ばれるが、たちまちノーマに知られ、大喧嘩となる。そして荷物をまとめて邸を出ようとしたジョーは、玄関前で背後からノーマに撃たれ、プールへ倒れ込んだのである……。殺人事件の報道に、ニュース・キャメラマンやコラムニストたちがノーマの邸に駆けつける。そのキャメラを見て、発狂したノーマは「サロメ」を演じつつ、階段をしずしずと降りてくるのだった。

「サンセット大通り」の解説

「失われた週末」「熱砂の秘密」のチーム、チャールズ・ブラケット(製作)とビリー・ワイルダー(監督)による1950年度の話題作で、ハリウッドの内幕を衝いた作品。ブラケット、ワイルダー及びD・M・マーシュマン・ジュニア合作による脚本は、50年度アカデミー賞オリジナル脚本賞を獲得した。撮影は「別働隊」のジョン・サイツ、音楽は「レベッカ」のフランツ・ワックスマン。サイレントの大女優グロリア・スワンソンがカムバックして主役を演ずるほか、「テキサス決死隊(1949)」のウィリアム・ホールデン、「熱砂の秘密」のエリッヒ・フォン・シュトロハイム、新人ナンシー・オルソンが中心人物となり、ほかに監督のセシル・B・デミル、コラムニストのヘッダ・ホッパー、サイレント時代の大立物バスター・キートン、アンナ・Q・ニルソン、H・B・ワーナーらが彼ら自身として出演している。

公開日・キャスト、その他基本情報

配給 セントラル
制作国 アメリカ(1950)
上映時間 110分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-10-14

ストーリーテラーの達人ビリー・ワイルダーは多作な上傑作も多く、正直なところ代表作を絞り切れない。未見の「熱砂の秘密」から「深夜の告白」「失われた週末」、この「サンセット大通り」「情婦」「昼下りの情事」「翼よ!あれが巴里の灯だ」「お熱いのがお好き」「アパートの鍵貸します」と、どれもが個性的で魅力的な映画ばかりだ。ルビッチとヒッチコックを足してダークにした感じで、独自の演出タッチを確立している。他に「男性と女性」「エアポート’75」しか観ていないが、ノーマ・デズモンドを演じるグロリア・スワンソンのサイレント映画の演技スタイルの存在感には圧倒される。そこにサイレント映画の巨人エーリヒ・フォン・シュトロハイムとセシル・B・デミルが加わり、クラシック映画好きには堪らないキャスティングになっている。ラストのスポットライトに照らされた、サロメを演じる狂気のノーマ・デズモンドを観られるだけでも価値がある。

最終更新日:2022-07-26 11:04:05

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