日時:8月8日(日)
登壇者:梅沢壮一(特殊メイクアップアーティスト/映画監督)、黒沢あすか(俳優)
シネマート新宿ほか大ヒット公開中の映画『サイコ・ゴアマン』。この度、特殊メイクアップアーティストで映画監督の梅沢壮一、俳優として活躍し本作では宇宙怪人の声を務めた黒沢あすかをゲストに迎えトークショーが行われた。
この度、シネマート新宿ほか全国順次公開中の映画『サイコ・ゴアマン』の予想を超える大ヒットを記念し、上映終了後にトークショーが行われた。ゲストには、本作のスペシャル・サンクスにクレジットされている特殊メイクアップアーティストで映画監督の梅沢壮一と、『冷たい熱帯魚』(11)、『ヒミズ』(12)など俳優として活躍し、本作では邪悪な宇宙怪人ウィッチマスターの声を務めた黒沢あすかが登壇。黒沢が声の出演をすることになった経緯や、劇中に登場する宇宙怪人の造形について語った。
本作は、冒険心を描いた子ども映画の名作『E.T.』(82)や『グーニーズ』(85)などを彷彿とさせつつ、『死霊のはらわた』(81)や『マスターズ 超空の覇者』(87)といったジャンル映画愛に溢れた80年代的懐かしさ満載で描くSFゴアスプラッターヒーローアドベンチャー。カナダが誇る天才過激映像集団<アストロン6>のメンバーで、単独監督作である『マンボーグ』(11)、『ザ・ヴォイド 変異世界』(16)などで確かなVFX技術を証明、『バイオハザードV リトリビューション』(12)、『パシフィック・リム』(13)ほか数々の大作に特殊効果としても参加するなど、目覚ましい活躍を見せる若きクリエイター、スティーヴン・コスタンスキ監督の最新作。
上映終了後ということで、熱気に包まれた場内。公開を記念して作られたサイコ・ゴアマンTシャツを着た梅沢壮一、黒沢あすかの登場を、観客は温かい拍手で迎え、トークショーがスタートした。まずは、本作を観た方なら誰もが疑問に思う、今回、黒沢が本作に携わることになった経緯についての話から。梅沢が監督を務め、黒沢も出演している『血を吸う粘土』(17)でトロント映画祭に出席した際、『サイコ・ゴアマン』のプロデューサーであるピーター・クプロウスキーと連絡先を交換し、後日、ピーターから「日本語を話すキャラクターを作りたいから声を担当してくれないか」と黒沢指名でオファーが来たことを明かした。細かい指定はなく、使用シーンとセリフの原稿が届き、「このシーンにセリフを入れてくれ」とざっくりした依頼だったのだとか。黒沢は、梅沢が持っていた録音機を用いて「自宅の和室で収録しました。小さい子どもがいるので、静かな場所を探して、結局押し入れに顔を突っ込んで収録しました」と明かすと、あまりにアナログな収録方法に会場は笑いに包まれた。文法的におかしな日本語を修正しながら録音作業をして、音声データを本国へ送ったことも明かした。初めて全編を見たときの感想を聞かれると、黒沢は「頭を使わずただただ楽しめる!とにかく笑いました!」とコメント。梅沢は本作の“ニチアサ”を彷彿とさせるシーンの数々にも言及。その他にも、『マスターズ 超空の覇者』(89)や『ヴィデオドローム』(97)、『ポルターガイスト』(82)の影響も感じたことを明かし、随所にオマージュを感じさせる本作の魅力を語った。本作エンディング曲についても、すぐに『ミュータント・タートルズ』(90)のエンディング曲「Turtle Power!」にそっくりだと気づいたという梅沢。実際にコスタンスキ監督は公式インタビューの回答に、当楽曲に影響を受けていることを明かしている。また本作に登場する好きなキャラクターを聞かれると、黒沢は「主人公のミミが素晴らしい!毒々しいセリフに合わせた表情と動き、存在感は天才的。別格だと思いました」とコメント。自身も子役から俳優として活躍する黒沢の視点で主人公ミミを演じたニタ=ジョゼ・ハンナの演技を絶賛した。梅沢はサイコ・ゴアマンの適役として登場するパンドラの造形に懐かしさを感じたことを明かした。特殊メイクアップアーティストとしても活躍する梅沢は、本作の造形物の量について言及し「あの尋常な量の造形物を作るのはとてつもない時間と労力がかかる。凄まじい」と、こだわりの造形の数々を称賛。さらに、本作の予想を超える大ヒットについても「このようにアナログで手作り感や温かみのある作品が支持され、盛り上がりを見せているのは同業者としてとても嬉しい」と喜びとともに本作の魅力を語り、大盛況の中トークは幕を下ろした。