自殺志願の男の子と、隣室に暮らす殺人鬼の美少女の恋愛を描き、人気を博した裸村(ラーソン)原作の漫画「穴殺人」。二浪して自殺を考えていたニートの黒須越郎が、アパートの部屋に空いた穴から隣に住む美少女・宮市莉央を覗くうちに彼女に恋をし、彼女が実は殺人鬼であるということを知っていくというラブストーリーだ。この作品を杉野遥亮と福原遥の主演で実写化した映画『羊とオオカミの恋と殺人』が11月29日に公開される。この作品でメガホンを取った朝倉加葉子監督に話を聞いた。
まず、この作品を手がけることになった経緯からお聞かせください。
■朝倉加葉子監督:プロデューサーから原作を紹介され、監督を務めることになりました。すごく面白い設定と、不器用ながらも相手にまっすぐに恋をしていくという主役二人のチャーミングなキャラクターに惹かれました」
主演の二人をキャスティングした理由を教えてください。
■朝倉監督:まず杉野遥亮くんは、実際お会いしてみると存在感がホワッとしつつ透明感がすごくある方でした。キャリア的にはイケメン系のキャラクターを演じることが多い俳優さんなんですけど、いろんな役ができる人だと思い、彼にオファーしました。今回はいわゆる世界のすみっこ、穴倉に住んでいるような引きこもりのニート役をしっかりと演じていただきました。何にでも染まれるタイプの素敵な役者さんだと思います。
本当はすごく身長も高くてイケメンですよね。
■朝倉監督:ホントに、すごく身長も高くてめちゃくちゃスタイルもいいんです。でも今回はニートのキャラクターに合わせて、ダボっとした服を中心に、あまりスタイルの良さを見せないようにしてもらいました。
前半はもさっとしたイケてない感じでしたが、後半はだんだん素敵になってきましたよね。
■朝倉監督:前半はメイクさんにがんばっていただいて、かなり寝癖をつけてもらったんです。それこそ穴倉に住んでいるような感じで。でも物語が進んでいくに連れて、彼女もでき、自意識も芽生えるようになって、どんどん顔もキリッとしてくるんですよね。そういう変化を杉野くんは自然に表現してくれました。
では、福原遥さんはどういう女優さんですか?
■朝倉監督:福原さんはまた不思議な方ですよね。すごく透明感があって可愛らしいし、すごくお芝居もうまいんです。でも現実にいるとフィクションみたいで、フィクションの中にいるとすごく現実感があるっていう、境界線が見えない人なんです。こういう“隣に住んでいる殺人鬼”という不思議な役にリアリティを持たせることができたのは、福原さんだからこそなんじゃないかと思います。
杉野さんには、役作りのうえでどのような話をされたのでしょうか?
■朝倉監督:杉野さんには、最初に会った時に「世界の隅っこにいる人で、そこの小さな穴から美少女を見て初めて恋をする人です」と伝えました。イケメンキャラではなく、ニートな引きこもり役だし、受けのお芝居が中心になるんですよね。すごく異常な事態が近くて起きているのにこんなにホワッとしてていいの、って思うようなキャラクターですけど、事態に戸惑いながらも殺人鬼に恋をして彼女のそばにいるというキャラクターを自然にうまく演じてくれましたね。
福原さんはどうでしたか?