Amazon ベスト・ブック・オブ・ザ・イヤーに輝くベストセラー小説の映画化作品『ベル・カント とらわれのアリア』が11月15日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国公開となる。
『アリスのままで』でアカデミー賞主演女優賞を獲得し、ハリウッドを代表する女優となったジュリアン・ムーア。同賞にノミネートされた『ラスト サムライ』以来国際的に活躍し、ミュージカル「王様と私」でトニー賞にノミネートされた渡辺謙。クリント・イーストウッドら名匠に愛される実力派俳優、加瀬亮。演じるために生まれてきた3 人が、1996 年にペルーで起きた日本大使公邸占拠事件からヒントを得て、テロリストと人質の予期せぬ交流を描いた作家アン・パチェットの小説「ベル・カント」の映画化で共演を果たした。 危機的状況の中、人質の一人である世界的オペラ歌手ロクサーヌの歌声が彼らにどんな影響を与えたのか。人の心を救うのは“力”ではなく、美しい芸術や温かな交流だと教えてくれる感動の人間ドラマとなっている。このたび、公開に先駆けジャパンプレミアを開催!本作でジュリアン・ムーア演じるロクサーヌ・コスの大ファンであり、南米某国の副大統領邸でのパーティーに招かれた、実業家ホソカワ役の渡辺謙と、ホソカワの通訳を務める聡明で沈着冷静な男ゲン役加瀬亮の日本を代表する国際派俳優のお二人が上映前の舞台挨拶に登壇した!
満員のお客様の盛大な拍手で迎えられ、渡辺謙は「2年半ぐらい前にNYとメキシコで撮影しました。ハードな内容ですが色々なことが描かれている人間ドラマです」、加瀬亮は「今日はご来場ありがとうございます。ようやく今こうやって日本でみてもらえることになって嬉しいです」と挨拶。
まず、本作のオファーを受けたときの印象を問われ「実は自分が最初にこの話を聞いたのが9.11(のテロ)の直後だったと思うのですが、(映画の中に)テロリストが出てくるし、さすがに9.11のあとテロリストが出てくる作品はどうだろう、と一旦はご遠慮したんです。」と渡辺謙。そして「実はもう一つの(本作を受けた)理由として、この作品のベースになっているペルーの日本人大使公邸占拠事件が起きる1週間前まで僕はリマにいたんです。ドキュメンタリーの仕事だったのですが、1か月くらいペルーを旅していました。もしそのまま一週間後まで滞在していたら、自分もこの事件に巻き込まれていたかもしれない、と思うようになって。そう考えると、この映画は宿命で、やらないと先に進めないんだと思ったんです。」という驚きのエピソードが!
続いて、実際英語が堪能な渡辺謙が劇中英語ができない役だったことに触れ、「実は僕はこんなもんなんですよ~」とジョークを飛ばしたあと「つい英語のセリフをきいていると英語的なリアクションしてしまうんですよ。それをわからないふりをしたり、以前『ラストサムライ』を演じていた頃、わからないんだけど理解しようとしていたときを思い出して演じるようにした」そうで、その一方で「英語、スペイン語だけでなく、フランス語、ドイツ語にロシア語まで」劇中で話さなければならなかった加瀬亮は、渡辺謙いわく「大変で目がサンカクになっていた!(笑)時間があるときに、飯行くか?と声かけもできなくらい」だったそう。「撮影中も部屋の中で語学の勉強ばかりやっていました」という加瀬亮も、「でもそんなとき、朝、楽屋にいくと謙さんが握ってくれたオニギリがあって、それを頂いていました」と二人の良い関係が垣間見れる話を披露した。
さらに加瀬亮は「『硫黄島からの手紙』のときには、謙さんとほとんど絡みがなかったので、本作で近くでがっつりご一緒できて勉強になりました。でも僕の役名がワタナベゲンで、作者の方が謙さんのファンだったからこの名前になったらしいんですけど、謙さんの前で役名を話すのは恥ずかしかった!」と話すと、渡辺謙も「僕もこっちの役のほうがいいんだよな~って言ったんだよ」とおどけつつ、「僕は今回加瀬くんと一緒でとても心強かったし、彼が大変な思いをしてやっているのもたくましく思えたし。こういったビッグバジェットでなく撮影日数も限られている作品でも、こういう頼もしい後輩がリードしてくれたのは嬉しかった」と改めて信頼の言葉を投げかけた。
また、本作で共演したオスカー女優のジュリアン・ムーアの印象をきかれると、「非常にプロフェッショナル。普段はフラットな気のいいおばちゃんて感じなんだけど、役に入ると妖艶だしオーラもあって。劇中の役のとおり彼女とも少しずつ距離を縮めていきました」(渡辺謙)、「思っていたより気さくな方で、でもつい話をしていると本番が始まってしまい、僕は戸惑いました。本番前まで携帯の(彼女の)娘の写真をみているから、ジュリアンのペースに巻き込まれてしまうと僕が集中できなくて」(加瀬亮)という微笑ましいエピソードも飛び出した。
そして、本作のような海外の作品に出る意味を問われると、渡辺謙は「それについては実はあまり関係なくて、面白いと思えば日本であろうが、海外であろうが、アジアであろうが作品の大小にかかわらず、どの作品でも呼んでいただければ行くつもりで。“呼ばれたら飛び出ててジャジャジャジャーン!”のハクション大俳優という感じでがんばっています」というユーモアあふれるコメントを返し、会場のお客様から歓声があがった。
最後に 加瀬亮は「今日はどうもありがとうございます。映画をゆっくり楽しんでいただければ嬉しいです」、渡辺謙は「ラグビーW杯やクライマックスシリーズでお忙しい中、この映画のためにお集まりいただいてとても嬉しく思っています。1時間40分少しの映画ですが、何十日間か捕らわれの身となった、この我々と同じような感覚を得ていただけたらと思います。11月公開の折にも他の皆さんにお知らせいただけたら嬉しいです」と語り、会場は再度温かい拍手に包まれた。