『新感染 ファイナル・エクスプレス』『チェイサー』など、時代を先取るエッジーな作品を世に送り出してきたカンヌ国際映画祭の2017年ミッドナイト・スクリーニング部門にて大きな話題となり、批評家サイト、ロッテン・トマトでも驚異の96%(2018年8/1付け)という高評価を獲得した戦慄の実話アクション『暁に祈れ』が、12/8(土)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町、シネマート新宿ほかにて全国公開となる。
汚職や殺人が蔓延し“地獄”と呼ばれる実在のタイの刑務所に服役し、ムエタイでのし上がっていったイギリス人ボクサー、ビリー・ムーアの自伝ベストセラー小説を完全映画化。新星ジョー・コールが、ボクサーを演じるために何か月もの肉体改造のすえ鋼の肉体を手に入れ、孤軍奮闘する主人公ビリーを熱演している。本作が持つ狂気と詩的さの両立という唯一無二の世界観が垣間見れる、約3分半の本編オープニングシーン映像が解禁となった。
この映像では、主人公ビリーが刑務所に収監される前のタイの闇ボクサーとして試合に臨む様子を捉えているが、薬漬けの生活を送るビリーの瞳孔は不自然に開き、試合を止めようとするセコンドや審判に襲いかかるなど自制の利かない凶暴性を垣間見ることができる。また、周囲の騒音が全く耳に入らず自分の呼吸しか聞こえていない“彼自身”が感じているであろう世界が度々挿入され、拳や体がぶつかり合う生々しい音も印象的。さらに、異常なまでにビリーを至近距離で捉えるなど、観る者がビリーと一体になっていると感じられる演出が随所に盛り込まれ、監督が本作で特に意識したという“没入感”を強く感じられる映像となっている。
この試合シーンも含め映画にたびたび登場する刑務所での格闘シーンは、ジャン=ステファーヌ・ソヴェール監督の強いこだわりにより、撮影においてジョー・コールはじめ出演者はカットをかけられることなく実際に戦ったといい、編集により細かく切られている。監督はそのようなハードな演出を行った理由について「撮影で格闘シーンをカットしなかったら本当に格闘しなければならない。私は嘘モノにはしたくありませんでした。」と語る。こうした監督の高い要求に応えるために、ジョー・コールは、さながらボクサーと同じように肉体改造を行い、ほぼ毎日が格闘シーンだったという30日間のタフな撮影に臨んだ。そんな彼に対して監督は、「ジョーには本当に感銘を受けました。彼は私を信頼し、自分を本当にプッシュしてくれました。私がプロの俳優を起用する時は、自分が持っているものを全面的に演技に出してくれることを期待しますが、それは、試合に臨むボクサーも同じかもしれないですね。」と最大級の賛辞を送っている。
こうした文字通り“全身全霊”の熱演を見せつけるジョー・コールは、今日11月28日で30歳を迎える。高い演技力を武器に『グリーンルーム』や『きみへの距離、1万キロ』、人気クライムドラマ「ピーキー・ブラインダーズ」など、幅広い役どころをこなしているが、俳優として飛躍の30代、今後のキャリアに注目したいが、まずは『暁に祈れ』でその圧倒的な男の狂気に触れてほしい。
映画『暁に祈れ』オープニングシーン
https://www.youtube.com/watch?v=K3tnOlpYIqg&feature=youtu.be