日時:11月1日(木)
場所:TOHOシネマズ日比谷 スクリーン12
登壇者:黒木華、野村周平、成田凌、夏帆、東出昌大、三島有紀子監督
鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂。その店主である篠川栞子(しのかわ しおりこ)が古書にまつわる数々の謎と秘密を解き明かしていく国民的大ベストセラー、三上延・著「ビブリア古書堂の事件手帖」シリーズ。その実写映画化となる『ビブリア古書堂の事件手帖』が11月1日(木)に公開となり、TOHOシネマズ日比谷にて初日舞台挨拶が開催された。本作でW主演となる黒木華、野村周平をはじめ、成田凌、夏帆、東出昌大、三島有紀子監督が登壇すると会場は大きな拍手に包まれ、主演を務めた黒木は「初日を迎えられて嬉しいです」と公開の喜びを語った。野村も「どういう感想が来るのかとても楽しみです」と挨拶し、成田は自身の役柄に絡めて「上映後ということで心なしか冷ややかな視線を感じます(笑)」と会場の笑いを誘った。三島監督は「企画が始まったのが4年位前で、やっと産み落とすことができ、とても幸せです」と無事公開を迎えられたた喜びを笑顔で語った。
演じた感想や、ここを観てほしいというポイントはありますか?という質問に黒木は、「本の知識と推理力がすごいという役だったので、本の読み聞かせをするシーンでも本の知識がある前提ですらすら話さなければいけないのが大変でした。後は原作のイラストのイメージとどう合わせるかというのは監督と相談しましたね」とコメント。野村が「比較的自分に近い役でしたね。監督から太陽みたいにしていて下さいと言われたので、現場で太陽みたいにしていたら“うるさい”と怒られました(笑)」と答えると、監督から「あったかいイメージでと伝えたつもりだったのですが、ギラギラの太陽でした(笑)」とツッコミを受け、会場を沸かせた。その後成田が「役には見た目から入っていきましたね。今日の衣装も少し稲垣に寄せました」と答えると、今度は野村が「サウナとか岩盤浴で着るやつでしょ(笑)」とツッコミを入れ、監督とキャストの仲睦まじい様子を見ることが出来た。また、夏帆は「過去から現在へ思いが伝わるというテーマだったので、現代へきちんとバトンを渡せるように心がけました」と劇中での自身の役回りを意識したと語り、東出は「劇中で人に太宰治をお勧めする役だったので、役の為に必要なんだと言いながら文学作品を沢山読めたのは役得でしたね」と読書家で知られる東出らしい回答をみせた。
登場人物が本や人との出会いから人生が変わるほど影響を受けることに因んで、今までで自分の人生を変えた人や物はありますか?という質問を受けた黒木は野田秀樹の名前を挙げ、「野田さんとの出会いですかね。自分の人生のはじまりなので。環境が変わっていくきっかけと、お芝居が好きなんだな、仕事としてやっていけるのかなと思ったきっかけですね」と語った。成田は名優・津川雅彦を挙げ、「津川さんですかね。僕の目を見ててって言われただけなんですけど」と津川とのやり取りが自身の始まりであると語った。三島監督は「父が三島由紀夫を好きだったので私の名前を“有紀子”とつけたんですが、その結果、文学好きになって今日ここに立っているので、そういう意味では父ですかね。その父親から解放されたのは坂口安吾の【堕落論】でして。“人間は生きてるだけで堕ちていくものだ”という文章を読んで生きて行こうと思えたので、そういう意味では坂口安吾かもしれません」と本作の監督らしい回答を述べた。
続いて本が過去と今を繋ぎ、人の思いが受け継がれていく本作とは逆に、今と未来を繋ぐべく、キャストと監督がそれぞれ“10年後の自分へ向けてメッセージ”を書いたフリップを披露。三島監督が《生きてる?撮ってる?》、夏帆が《健康第一》、成田が《体調管理しっかりな。》と健康に関する真面目な回答を披露したのに対し、東出は1人だけ《最大何cmの岩魚釣った?》と趣味の回答を披露し、会場の笑いを誘った。
一方W主演である黒木と野村は、野村が“10年後も落ち着いていたくない”という逆説的な意味を込めて《落ち着いていますか?》と回答したのに対し、黒木は《好きな人たちと好きなことを。》と書いたフリップを披露して「10年後は無理していたくない…」と野村と真逆の回答。劇中の栞子と大輔のような掛け合いに会場からは笑いが起こり、すかさず野村が「栞子と大輔を演じるということはこういうことです(笑)」とコメントすると更なる笑いが会場を包んだ。
イベント終盤のフォトセッションでは、劇中で主人公・栞子が祖父から受け継ぐ、まだページが切り落とされていない貴重なアンカット本が出てくることに因んで、ステージに巨大アンカット本が登場!キャストと監督全員でテープカットならぬ、“アンカット本カット”が行われ、公開初日の晴れ舞台を観客と共に盛大に祝った。
最後にまだ観ていない観客へのメッセージを求められた野村は「セットや光のこだわりが素晴らしいので、そうした所も楽しんで欲しいです」とコメント。黒木は「本が人と人を繋いでいく姿に私自身も感動しています。是非周りの方にもお勧めして欲しいです」と語った。最後に三島監督が「人の想いが届くって本当に奇蹟的な事だと思っています。皆さんの“想い”が届いた瞬間を思い出して帰って頂けたらと思います」と挨拶すると会場は大きな拍手に包まれ、イベントは幕を閉じた。