日時:2月9日(木)
場所:スペースFS汐留
登壇者:パク・チャヌク監督、島本理生
「このミステリーがすごい!」で第1位を獲得したサラ・ウォーターズの「荊の城」が原作となったパク・チャヌク最新作映画『お嬢さん』が3月3日(金)より公開となる。2016年のカンヌ国際映画祭において、韓国人初の芸術貢献賞受賞(美術のリュ・ソンヒ)となった本作は、韓国では成人映画(R19指定)のオープニング記録を更新し、アメリカを中心とした世界中の映画賞で高い評価を受けおりこの度、そんな超話題作を引っ提げパク・チャヌク監督が来日!そして昨日の真木よう子に引き続き、今夜はジャパンプレミア第2夜!作家の島本理生がゲストとして監督を出迎えた。女流作家ならではの視点から、監督と共に本衝撃作の魅力を語った。
雪の降りしきる中、満席の会場に登壇したパク・チャヌク監督。本作が成人指定にも関わらず、全世界で400万人以上動員の大ヒットを記録し、世界で73ノミネート33の映画賞を受賞(2月9日時点)していることについて聞かれると、「多くの評価を頂けていることをとても嬉しく思っています。そして、何より素晴らしい演技を見せてくれた俳優たちに感謝したいと思います。」と喜びを表現した。
また原作は、ヴィクトリア王朝を舞台にしたイギリスの小説「荊の城」でありながらも、今回映画化にあたり舞台を日本統治下の朝鮮半島に置き換えてことについて聞かれると、「(日本での公開が間近に控え)日本人が登場して、日本語を話す設定にしたことを今すごく後悔しています(笑)。この作品のプロモーションのために多くの国へ行きましたが、日本だけは避けたいな、とずっと思っていました(笑)。
しかし、実際に俳優たちは何ヵ月間も日本語の訓練を重ね、本番では渾身の力を込めて演じてくれました。ですので皆さん、是非とも広い心を持ってこの作品を観てください。」と答えると観客からは笑い声が。そして、昨夜の女優・真木よう子に続き、ジャパンプレミア第2夜のゲストとして「ナラタージュ」など恋愛小説で女性から高い支持を受ける作家の島本理生が花束を持って登場。さっそく本作の感想を聞かれると、「もう最高でした!最初はドロドロとした官能的な映画なのかと思っていたんですが、こんなにもスリリングで解放感が溢れる映画で興奮しました。」と本作を大絶賛。昨日雑誌の企画で監督と対談をした島本。監督の印象について聞かれると、「私は『オールド・ボーイ』を観て衝撃を受けて以来監督の大ファンなのですが、お会いしてまず驚いたのは監督、ものすごく優しくて穏やかな方なんです。正直、(バイオレンスな描写が多い)作風からとても怖い方を想像していました。」と答え、「勘違いされることは多くないですか?」との質問に監督は「実はものすごく多いんです。『オールド・ボーイ』の時も世界中どこに行っても「ファンです!」と言って来てくれる人は、革ジャンで腰からチェーンを下げて、体のどこかにタトゥーが入っている男性が多かったんですが(笑)最近は女性の方も声をかけてくれて嬉しいです。」と答えた。
また主演の女優二人について「女性の力強さや愛情深さがすごく豊かに表現されていると感じました。スッキ役のキム・テリさんは新人と聞きましたが。」との島本からの質問に監督は、「彼女は短編映画に1本出演しただけのキャリアでしたが、とても堂々と演技をしてくれました。最初は100人以上のスタッフに囲まれて戸惑っていましたが、だんだんと伸びやかに演じられるようになって、さらにその順応していくスピードに驚きました。」と大抜擢のキャスティングにも自信をのぞかせる。
そして最後に島本より「映画を観ていて、すごく官能的な描写なのに、ふと笑えてくるシーンがあって、それは自分だけなのか心配になったのですが、どうなんでしょうか。」という質問があると、「そこは(この映画を作るうえで」とても意識した点です。意図的に笑えるように描いています。できることなら毎上映、前説やサクラを仕込んで笑いを誘導したいぐらいです(笑)なので皆さん、感情のまま大いに笑ってこの映画を楽しんでください!」と観客にメッセージを送り、大きな拍手の中、二人は会場を後にした。