イスラエルによるガザへの攻撃が続いていた2024年。イラン出身の映画監督セピデ・ファルシは、緊急で現地の人々の声を届ける必要性を感じていた。だがガザは封鎖され、足を踏み入れられない。そうした中で知り合ったのが、ガザ北部に暮らす24歳のパレスチナ人フォトジャーナリスト、ファトマ・ハッスーナだった。監督はファトマとのビデオ通話を軸にした映画を作ろうと決意し、画面越しの交流が始まる。ファトマは監督がガザを知るための目となり、監督はファトマと外の世界との架け橋となっていった--。両者の約1年間にわたるビデオ通話を映画化した「手に魂を込め、歩いてみれば」が、12月5日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国で順次公開される。ポスタービジュアルが到着した。
スマホ映像でガザの様子を伝え続けるファトマ。監督が「太陽のような存在」と形容したように明るい性格だが、爆撃で家族や友人が亡くなるにつれ表情を曇らせていく。完成した映画は、カンヌ国際映画祭2025ACID部門に出品されることが決定。その知らせをファトマは喜ぶが、翌日に空爆で家族と共に命を落とした。
映画祭の開会式で審査委員長のジュリエット・ビノシュは「ファトマは今夜、私たちと共にいるべきでした。芸術は残り続けます」と述べる。映画祭の前夜には、リチャード・ギア、マーク・ラファロ、ガイ・ピアース、レイフ・ファインズなど350人以上の業界関係者が署名したステートメントにより、ファトマの殺害と業界の沈黙が非難された。「もし死ぬのなら、響き渡る死を望む」とファトマが書いた通り、世界中に波紋が広がることになる。
©Sepideh Farsi Reves d’Eau Productions
「手に魂を込め、歩いてみれば」
登場人物:セピデ・ファルシ、ファトマ・ハッスーナ
監督:セピデ・ファルシ プロデューサー:ジャヴァド・ジャヴァエリー
制作:Reves d‘Eau Productions、24images Production
2025年/フランス・パレスチナ・イラン/113分
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:https://unitedpeople.jp/put