濱口竜介監督「急に具合が悪くなる」製作決定。監督コメント到着

濱口竜介監督「急に具合が悪くなる」製作決定。監督コメント到着
提供:キネマ旬報

濱口竜介監督が新作「急に具合が悪くなる」を制作することが決定した。原作は同名の書籍(宮野真生子・磯野真穂著/晶文社)で、がんの転移を経験しながら生きる哲学者と、臨床現場の調査を重ねた人類学者が、20年の学問キャリアと人生をかけて交わした20通の往復書簡を収めたものだ。
主演に「ベネデッタ」のヴィルジニー・エフィラと「ウルヴァリン:SAMURAI」のTAOこと岡本多緒を迎え、フランス、日本、ドイツ、ベルギーの共同制作となる。2026年に全国公開。

濱口竜介監督コメント
宮野真生子さん、磯野真穂さんの著作『急に具合が悪くなる』の映画化をここに発表できることを、とても嬉しく思います。原作者のお二人にも、この場を借りて、心よりの御礼をお伝えしたく思います。
今はパリで撮影の準備をしております。約4年前にオフィス・シロウズの松田広子プロデューサーからこの本を映画原作として提案されてから、ずいぶん長い時間を経ました。お二人の往復書簡から成るこの本を初めて読んだときの感覚は「心を強く動かされた」という言葉では足りません。往復書簡という形式、しかも二人の学者の全キャリアと魂を賭けたような議論に対していったいどう取り組んだらよいかは、まったく見当はつきませんでしたが「映画にしたい」という火が心に灯ったような感覚がありました。その灯火に導かれて、随分と遠くまで来てしまったように思います。
映画『急に具合が悪くなる』はフランスの介護施設のディレクター・マリー=ルーと、がんを患う日本の劇演出家・真理の間にとある偶然から生じた、出会いと交流を描く物語になります。どうしてこうなったのか、短くは決して説明できないというのが正直なところです。ここまでの曲がりくねった歩みを要約することは不可能に思えます。なので、自分を導いてくれた原作の一節を書きつけることにします。
「関係性を作り上げるとは、握手をして立ち止まることでも、受け止めることでもなく、運動の中でラインを描き続けながら、共に世界を通り抜け、その動きの中で、互いにとって心地よい言葉や身振りを見つけ出し、それを踏み跡として、次の一歩を踏み出してゆく。そういう知覚の伴った運動なのではないでしょうか。」
マリー=ルーをヴィルジニー・エフィラさんが、真理を岡本多緒さんが演じることになります。お仕事を以前から存じてはいたものの、まさかこうしてご一緒できる機会があるとは思っていなかったお二人なので、とても興奮しています。今夏、最高のキャスト・スタッフと撮影する映画『急に具合が悪くなる』が、原作の引いたラインを更に延ばしていくものとなるよう、自分にできることは何でもやるつもりでいます。どうぞ、ご期待ください。

Story
パリ郊外の介護施設〈⾃由の庭〉。施設長のマリー=ルー・フォンテーヌは⼊居者を⼈間らしくケアすることを理想としつつも、人手不足やスタッフの無理解に悩まされている。そんな中、がんと闘う演出家の森崎真理と出会い、彼女の演劇から勇気を得る。
こうして名前の響きが同じ二人の交流が始まるが、あるとき真理は「急に具合が悪くなる」。真理の病が進むにつれて両者の関係は劇的に深まり、魂を通わせていく--。

「急に具合が悪くなる」
監督・脚本:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
主演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒
製作:Cinefrance Studios、オフィス・シロウズ、ビターズ・エンド、Heimat Film、Tarantula
提供:「All of a Sudden」JPN Partners
フランス=日本=ドイツ=ベルギー合作
公式X:@FilmAOAS

最終更新日
2025-05-07 11:55:51
提供
キネマ旬報(引用元

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