提供:キネマ旬報
監督・是枝裕和 × 脚本・坂元裕二の大物タッグで贈るオリジナル映画「怪物」が、6月2日(金)より全国公開。両者のコメント、場面写真、特別映像が到着した。
▲是枝裕和
「万引き家族」(18)のカンヌ国際映画祭パルムドールをはじめ数々の賞に輝き、近年は「真実」(19)「ベイビー・ブローカー」(22)など海外映画人とコラボしてきた是枝裕和監督が、今回は日本で映画を制作。
▲坂元裕二
坂元裕二は『Mother』(10)『最高の離婚』(13)『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』(16)『カルテット』(17)『大豆田とわ子と三人の元夫』(21)『初恋の悪魔』(22)といった連続ドラマ、ならびに映画「花束みたいな恋をした」(20)など、数々のヒット作&受賞作を送り出してきた名手だ。
場面写真および特別映像は、森を走る2人の子を捉えたもの。彼らがいかに物語を紡ぐのか、タイトルの“怪物”とはいったい何か--。
是枝裕和監督コメント
基本的には自分の映画は自分で脚本を書いて来ましたが、誰か脚本家と組むなら誰が?という質問には必ず「坂元裕二!」と即答してきました。それは、そんなことは自分のキャリアには起こらないだろうとどこかで諦めていたからです、きっと。夢が叶ってしまいました。こんなことを言うと坂元裕二ファンには怒られるかも知れませんが、加害者遺族、赤ちゃんポスト、子供達の冒険旅行、疑似家族と、同じモチーフに関心を持たれている方だなと親近感を抱いておりました。もちろん作品になるタイミングは前後していますし、扱い方は全く違うのですが、それでも彼と自分は同じ時代を生き同じ空気を吸って吐いているんだと感じていました。そして、何より、その題材をとてつもなく面白いものに着地させる手腕には、羨望と畏敬の念と両方を抱いておりました。
今回は、縁あって共同作業が実現してしまいました。監督としてこの素晴らしい脚本とちゃんと勝負しなくてはいけないと、ファンであることは隠したつもりだったのですが、恥ずかしながら、バレバレだったと思います。
まだタイトル以外は明かせませんが、誰よりもこの作品の完成が待ち遠しいです。
坂元裕二氏コメント
是枝作品の脚本を是枝さん以外の者が書くと聞くと、観客の方はどのように思われるのでしょう。わたしは、「え、そんなことはありえるの? 無理に決まってるでしょ」派です。是枝監督は世界一の脚本家でもありますから。しかも撮影現場で俳優やスタッフと対話しながら脚本を作っていくタイプの監督です。そんな仕事を引き受けた脚本家がいたら、身の程知らずだなと苦笑いするはずです。まったくもって愚か者ですね。
是枝さんは学年もクラスも違っていて話したこともないけど、時々廊下で目が合ったり、持ってるものを見て真似して手に入れたくなる、憧れの存在のような人でした。あんな人になりたかったな、なれなかったな。いいな、羨ましいな。そんな嫉妬めいた思いの対象だった是枝さんが、『海よりもまだ深く』という映画の作中やインタビューで「こんな自分になりたいわけじゃなかった」と語られていて、驚きました。是枝さんの秘密をちょっと知ったような気になりました。誰だって多かれ少なかれ自分に納得いかなくて、こんなつもりじゃなかったと思いながら生きていて、どこかで折り合いをつけようとするけど、良いこともあれば悪いこともある。自分のことがあまり好きじゃなかったりする。廊下の向こうにいる是枝さんのことを見かけるたびに、「僕もそうなんだよね」と心の中で勝手に話しかけてみたりする、そんな存在に変わって、この映画もそんな風にして作っていきました。自分を好きになれない誰かへのエールになるといいなと思っています。
「怪物」
監督・編集:是枝裕和 脚本:坂元裕二
企画・プロデュース:川村元気、山田兼司
製作:東宝、ギャガ、フジテレビジョン、AOI Pro.、分福 配給:東宝、ギャガ
©2023「怪物」製作委員会
公式サイト:gaga.ne.jp/kaibutsu-movie/