『ヤマトよ永遠に REBEL3199』は、『ヤマトよ永遠に』と『宇宙戦艦ヤマIII』を原作に、新解釈を加えて再構成した『宇宙戦艦ヤマト 2199』シリーズ最新作。全七章にて全国劇場上映、「第三章 群青のアステロイド」を 4月 11 日(金)より上映開始します。
この度、3月22日(日)開催のAnimeJapan 2025のWHITE STAGEにて、潘恵子・潘めぐみが親子で登壇!
原作でサーシャを演じた潘恵子と、リメイクシリーズ「ヤマトよ永遠に REBEL3199」でサーシャを演じている潘めぐみが一堂に会するという貴重な機会に会場は大盛況。まずはめぐみが「このようなひとときをいただいて、光栄に思っております」と語ると、恵子も「久しぶりの皆さん、はじめての皆さんもいらっしゃると思いますが、今日はどうぞ楽しんでいってください」と呼びかけた。
いきなり冒頭から「(氷川の著書『空想映像文化論』のカバーは)安彦良和さんに宇宙戦艦ヤマトを描いていただいたんですが、実は安彦さんは『宇宙戦艦ヤマト』のスタッフなんです。赤ん坊のサーシャって安彦さんの作画なんですよ」と裏話を語るなど、アニメ特撮研究家の氷川が語るコメントに興味津々の会場内。
そんな氷川が「宇宙戦艦ヤマト」にはじめて触れたのは高校二年生のこと。「当時、練馬区の桜台にあったヤマトの制作スタジオに出かけまして。すごいアニメというのは、やはりすごくなるなりの理由があるのだと思いました。アニメ雑誌がなかった頃なので、そこで設定とか、原画とかに触れることになって、今に至るという感じですね」。
当時はテレビマンガと呼ばれていた時代だったということもあり、「こんなことをテレビでやっていいのかと思った。だいたいが第一話では何の説明もなかったし、ヤマトも出てこなくて。クラクラしてしまった。未知の世界に連れて行ってくれた作品」だと感じたという。
一方の福井が「宇宙戦艦ヤマト」に出会ったのは「氷川さん世代がつくったブームが浸透したあと」だという。「『さらば宇宙戦艦ヤマト』の公開記念の時に、テレビで映画版第 1 作がテレビで放送されて。それを観たのが最初でした。夜の 9 時からはじまって 11 時半くらいに終わる。その二時間半の間に地球が滅んで、蘇るまでが描かれる。そんなものははじめて観たんです。それは後々、アニメだからできる語り口だというのは、大人になってからわかることなんですけど、それまで観ていたものとは違うものを見せられた感じがします」と振り返った福井は、「一緒に観ていた親戚のおばさんが、『これ今日中に終わるの?』と言っていたんですよ。実は自分もそう思ってたんですが、実際に終わったし、感動もしたし、すごいなと思いましたね」と懐かしそうに語った。
オリジナルシリーズでサーシャを演じることになった経緯について恵子は「1974 年のテレビシリーズの時代はこの仕事をしてなくて。学生だったと思います。だからテレビシリーズにちょっとだけ出演した時もふーんという感じでした」と切り出すと、「わたしは舞台ばっかりやっていた演劇少女だったので。アニメのことはよく知らなかったんです。でも『宇宙戦艦ヤマト』という作品があるのは知っていた。それでちょっと出させてもらって。2 年後くらいに『ヤマトよ永遠に』のオーディションがあったのかな。そこから出させていただいた感じですね」と述懐。
当時、「宇宙戦艦ヤマト」の反響はものすごいものがあったそうで、「『さらば宇宙戦艦ヤマト』のあたりで、日本武道館でイベントを行ったこともありました。当時は声優さんが武道館に立てることはほとんどなかったんですけど、イベントをやったら、満員で入れない方も出たほどだった。だから次の日にもう 1 回やったんです。当時は武道館も空いてたんですね。すごい大変なブームになったのを覚えてます」と語ると、めぐみも「すごい話ですよね。わたしが影も形もない時代の話ですもんね」と感心した様子だった。
リメイクシリーズにおけるサーシャのキャスティングについて福井は「めぐみさんにお願いしない理由はなかった」とキッパリ。「たまたま役者さんをやられていたというだけでなく、お母さんと一緒に『機動戦士ガンダムUC』のアフレコ現場に来ていただいたことがあったのですが、あれがある種、練習的な感じがありました。しかもあれから数年でたちまちスターダムにのし上がったじゃないですか。もしそれがなかったら(関係者を)説得しないといけないところでしたが、スターになっていたというところで。『お前、口をきけるの? だったら連れてきて』という感じでした」と述懐。一方のめぐみはサーシャ役のオファーに「役を継がせていただくという形は、今まであまりなかったので、光栄だなと思いつつ。果たして自分に、この作品を解釈することができるのか、この船に乗れるのかなと心配もありました」と振り返った。
そうやってサーシャ役を継ぐことになったが、「わたしは母には相談できないタイプ」とめぐみが語ると、恵子も「わたしもされたくない」と笑いながら返答。だがそれゆえに福井には相談を行っているとのことで、めぐみも「収録では福井さんとサーシャタイムというのがあって。毎回ヤマトクルーには内緒でお話をしながらサーシャ像をつくっていっている感じですね。わたしは自分から相談に行けなくて、(相手から)来てくださると言えるので。ありがたい時間だなと思います」と明かした。
そして恵子自身、マザー・デザリアム役でのオファーについては「最初は違う方を通じて出演のご依頼をしていただいたんですけど、お断りをしていたんです」と明かす。だが福井から直接「僕のお願いでも駄目ですか?僕の書いた本では駄目ですか?」という連絡をしたということで、マザー・デザリアム役を受けることにしたという。その中で娘がサーシャ役を受け継ぐということが決まり、「めぐみがやると聞いて、いいなと思いました」と笑った恵子は、「本当にすばらしい役ですよね。わたしも『ヤマトよ永遠に』でやらせていただいた時に、役者冥利(みょうり)に尽きる役だと思っていましたから。最高でした」と笑顔を見せた。
そうした具合にサーシャ役を親子で継承するということに、氷川も「すばらしいことだと思います。何年か前に、福井さんとイベントに登壇した時に『さらば』をやるならアンドロメダをお願いします。『永遠に』ならサーシャをお願いしますと言いました。僕は萌えとかはあまり興味がないんですけど、サーシャは別ですね」とキッパリとコメント。ひとあし先に第三章を観させていただいたんですが、予告にもあったサーシャの『おじさま』というセリフが出てきて。あの破壊力たるや。これはもう親子共演は大成功ですよね。マザー・デザリアムも重低音もすばらしいんですからね」としみじみ。福井も「今にして思うとサーシャは元祖萌えキャラかも。今は萌えキャラも別の形に変わり初めているところだと思いますが。たとえば新海さんがつくるようなヒロイン像のような、以前のアニメアニメしたものとは違うキャラクターが人気を集めているんだと思います。そのすう勢もふまえて、萌えキャラという部分での、つかみの部分、人間性の部分、そこに現代性も加味して、けっこう複雑なキャラクターにしてあります」。
そんな親子共演だが、今後の展開においては新しい世界が見えるという。「かつてサーシャだった恵子さんがマザー・デザリアムをやるということは、最終回のマザー・デザリアムのセリフを聞くと、ああ、と思ってもらえると思う。そのひとことのためにやっているところがあるので、その答え合わせは 2 年後。お楽しみになるくらい先ですけどね」と福井が期待をあおるひと幕も。そしてそこから氷川が「当時、なぜサーシャに入れ込んだかというと、かぐや姫っぽいんですよ。急成長して、任務を果たして去っていくというところが。そういう雰囲気が出ているといいなと思います」と指摘すると、福井は「その視点はまったくなかったな。でも今、それは入りました。だいぶ作業は先に進んでいるんですが、まだ大丈夫です」とコメント。そうしたやり取りを目の当たりにしためぐみも「ここにいる皆さんが証人ですからね」と会場に呼びかけた。
そんなイベントもいよいよ終盤に。「ヤマトよ永遠に REBEL3199」第三章のメッセージについて、恵子が「すばらしい映像、音響と、福井さんが描かれる人物がものすごく濃くて。そして大切なメッセージがあります。わたしの時代の方も、新しい時代の方も、ひとりでも多くの方を連れていって、観ていただきたいなと思います」と語ると、めぐみが「第二章の上映の時に、ヤマトの模型が新宿ピカデリーに飾ってあって。そこにおじいちゃんと、腕に赤ちゃんを抱えたパパとママがいて。きっと親子三代みんなヤマトが好きなんですよ。今回の第三章は、そうした世代を超えた話がズンとくるなと思っていて。今生きている人たちと、これまで生きた人たち、そしてこれから生きていかなきゃいけない人たちにとって、大切なメッセージ性があるなと思います」とコメント。最後に福井が「今、宇宙戦艦ヤマト 50 周年の記録展もやって盛り上がっている最中で、そこでは魅力的なグッズがたくさん売っています。でもその中でもこの第三章を観るのは忘れないでいただきたいなと思っています」と会場に呼びかけた。
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©西﨑義展/宇宙戦艦ヤマト 3199 製作委員会
