インド映画に特化した配給会社である株式会社インドエイガジャパンは、『ザ・フェイス』(2 月 23 日公開)、『ブリンダーヴァナム 恋の輪舞』(3月 15 日公開)、『仕置人DJ』(7月12日公開)、『リシの旅路』(10 月 18日公開)に続きまして、5 作目 『コムライヤ爺さんのお葬式』 を 11 月 15日(金)に公開。
2014 年に成立した、インドで最も新しい州であるテランガーナ州。その州都ハイダラーバードはインドでもトップクラスの豊かな映画界であるテルグ語映画の本拠地であるにもかかわらず、複雑な歴史的経緯と、方言の問題から、テランガーナ地方の住人たちはテルグ語映画の表舞台で活躍する機会に恵まれませんでした。そんな中、2014 年の州の成立の前後から、テランガーナの文化を映画に取り込もうとする試みが徐々に始まりました。それは作中でのテランガーナ方言の採用や、土地に根付いた文化を写実的に描くこと、地域が生んだ偉人に光を当てることなどで、華やかなスター俳優たちや巨大スケールのアクションなどに頼らない地道な歩みでした。
本作 『コムライヤ爺さんのお葬式』 もそうした試みの一つで、キャスト・スタッフの多くがテランガーナ出身者で固められ、ヴェーヌ・イェルダンディ監督の出身地であるラージャンナ・シリシッラ県の緑豊かな風景の中で撮影されました。小さな村の奇妙な人々の人間関係、死者の霊との神秘的なコミュニケーションなどを、ビームス・シシローリヨーの手になる美しい音楽が包み込んでゆきます。弔問客を前に繰り広げられる伝統芸能ハリカタ、野辺送りに賑やかに随伴する打楽器ティーンマール、死者に語りかける哀哭歌ブッラ・カタなど、本作は様々な民俗音楽が散りばめられた田舎ミュージカルでもあるのです。
南インドの豊かな自然と伝統行事に彩られた本作を、ぜひとも劇場のスクリーンでお楽しみいただきたいと思います。
【Story】
テランガーナ州ラージャンナ・シリシッラ県コーナラーウペータ村は、州都ハイダラーバードから北に 150 キロほどのところにあるのどかな農村。そこに住む 1954 年生まれのコムライヤは口の悪いやもめ男。彼と同居しているのは長男のアイライヤとその妻スワルーパ、その息子サーイルだった。サーイルは奇妙なベンチャー・ビジネスを試みては失敗を繰り返している青年で、家族には隠しているが借金まみれ。彼はまもなく婚約式を行うことになっており、相手の持参金を借金返済に当てようと目論んでいる。しかし式の前々日に突然コムライヤが他界してしまう。服喪のため式は延期となり、さらに些細な喧嘩がもとで婚約者とその親族が彼のもとを去り、サーイルは慌てる。彼の叔父・叔母にあたるモギライヤとラクシュミもそれぞれの家族を伴ってやってくる。サーイルは叔母に連れられてやってきた従妹のサンディヤに心を奪われる。コムライヤの告別式と火葬は滞りなく済み、服喪の最終儀礼に当たる、野辺でのカラス(死者の霊や祖霊が宿るとされる)への供犠へと進む。しかしそこに至るまでの間に、久しぶりに一堂に会した親族たちのエゴの衝突や旧怨のぶり返しなどが噴出し、不穏な空気が高まっていく。
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