54年という短命な生涯ながら、全8作品の劇映画を世に送り出し、今なお多くの映画人や芸術家に影響を与え続ける、旧ソ連映画界の巨匠にして不世出の映画作家アンドレイ・タルコフスキー。
1962年に長編1作目となる『僕の村は戦場だった』を監督、ヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞等を受賞。1967年にロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』を完成させるが、歴史解釈をめぐってソ連当局の激しい批判を受け、5年間の上映禁止を言い渡される。一方で同作品は1969年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。その後も『惑星ソラリス』(72)、『鏡』(75)、『ストーカー』(79)と唯一無二の映像世界で批評家や観客たちを魅了し、世界的な評価を確立。だがソ連国内の厳しい検閲は依然としてあり、ソ連を出国。はじめてソビエト連邦国外のイタリアで製作されたタルコフスキー監督作が長編6作目となる『ノスタルジア』である。タルコフスキーは本作を3年半の歳月を費やして完成させ、1983年カンヌ国際映画祭で「この映画の創造に対する特別大賞」「国際映画批評家連盟賞」「エキュメニック審査員賞」の3冠に輝いた。
今回公開となる『ノスタルジア 4K修復版』は、2022年に撮影監督であるジュゼッペ・ランチ監修のもと、ローマのチネテカ・ナチオナーレの協力で4K修復が行われ、ボローニャ復元映画祭2022でワールドプレミアとなった。
解禁となった予告編は、本作で印象的なカメラの横移動や長回しショットを堪能できる、壮大かつ静謐な雰囲気が漂うものに。ラストには、タルコフスキー監督を敬愛する作家・詩人の池澤夏樹氏のコメント「彼の映画の中では人類の不幸が映像の祝福によって中和されている。そんな計算が成り立つのかと思いながら、やはりうっとりとしてスクリーンを見続ける。」が挿入されている。これは2015年に発売された本作のBlu-ray(発売元:株式会社IMAGICA TV/販売元:株式会社KADOKAWA 角川書店)の封入ブックレットに書き下ろしされた池澤氏のテキストから、池澤氏本人の許諾を得て抜粋されたもの。池澤氏は今回の4K修復版の公開についても「再公開、楽しみです。」と期待の声を寄せている。またスチル写真と、リマスターされた4K映像から『ノスタルジア』の象徴的なシーンを切り取った場面写真、計12点が解禁となった。
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下およびメイジャー・ネット通販ではオリジナルB3ポスター付き前売券が1500円(税込)で販売中。『ノスタルジア 4K修復版』は、2024/1/26(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開。
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