貧しい時代、〈人と人のぬくもり〉と〈いのちの巡り〉を鮮烈なモノクロ映像で描く、新たなる日本映画の誕生!映画『せかいのおきく』が 2023 年4月 28 日(金)より全国劇場公開決定!!
数々の名作を産んできた名匠・阪本順治が自身のオリジナル脚本を映画化した本作。主演は『小さいおうち』(2014)で第64 回ベルリン国際映画祭最優秀女優賞(銀熊賞)を受賞、『小さいおうち』、『母と暮せば』(2015)、『浅田家!』(2020)で三度の日本アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝き、その卓越した演技力でもはや日本映画界に欠かせない存在となった黒木華。共演には、祖父に三國連太郎、父に佐藤浩市を持ち、『ナミヤ雑貨店の奇跡』『菊とギロチン』でデビュー間も無く数々の新人賞を受賞し、現在放送中の NHK 大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では歴史に残る大事件の実行犯・公暁役で話題となるなど、鮮烈な眼差しが観るものを虜にする寛一郎。そして、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』(2017)、『宮本から君へ』(2019)、『ちょっと思い出しただけ』(2022)など数々の主演作で日本映画界を牽引し、『シン・仮面ライダー』(2023)の公開も控える池松壮亮。本作の舞台は日本が世界の渦に巻き込まれていく江戸末期。寺子屋で子供たちに読み書きを教えている主人公おきく(黒木華)は、ある雨の日、厠(寺所有の公衆便所)のひさしの下で、雨宿りをしていた紙屑拾いの中次(寛一郎)と、下肥買いの矢亮(池松壮亮)と出会う。武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう...。貧しい時代に逞しく生きる庶民の姿を通じて、人と人のぬくもりを描く『せかいのおきく』。人情の機微を見つめ続けてきた阪本順治監督が贈る、至高の日本映画がここに誕生する。声を失うことで映画の中盤からセリフが無くなる黒木華の凄まじい演技、そして日本映画界の次世代を担う演技派俳優三人による貴重な共演に期待が高まる。
本作について、黒木華は「『せかいのおきく』、この題名に込められた阪本監督の想いが、より多くの方に伝わるよう、おきくを演じられていたらと思います。今の時代に繋がる尊さがある作品になっていると思いますので、沢山の方に見ていただけると嬉しいです。」、寛一郎と池松壮亮は、「青春。それは、恋とせかいとうんち。阪本順治最新作お楽しみに。(寛一郎)」、「自然と共に生き、空と人と情緒があったこと、祈りがあったこと。貧しくも瑞々しく生きる人々の映画です。今を生きる多くの人々に届くことを願っています。(池松)」と、それぞれコメントを寄せた。また、阪本監督は「江戸時代における食のサイクルを基軸として、没落した武家の娘と、糞尿の処理に携わる賤民たちを主人公に、低い視座から社会を眺めるだけではなく、〝汚い〟ところから世界をえがこうとする意欲作。しかも軽妙に、しかし美しく、だ。名付けて、糞ったれ青春時代劇!」と手ごたえを見せた。
ただならぬ風格を放つ鮮烈なモノクロ映像!
そして映画の背景に描かれる〈いのちの巡り〉とは?
映画『せかいのおきく』のファーストルックとして三点の場面写真が解禁された。貧乏長屋の小路で空に拝むおきく。商売の種となる貴重な糞尿を担いで畦道をひた走る中次と矢亮。そして厠のひさしで雨宿りをする三人。全編が主に京都撮影所(東映・松竹)で撮影された、墨絵のように美しく、鮮烈なモノクロ映像で綴られる本作のただならぬ風格と、近年日本映画の最高傑作と呼び声高い、その気配を早くも感じさせる。
また、本作の舞台となる江戸時代では、現代の私たちでは捨ててしまうようなものを買い取り再利用する商人が沢山いた。矢亮の商売である〈下肥買い〉(しもごえがい)はその代表例だ。下肥買いは「汚穢屋」とも呼ばれ、長屋にある共同の厠に溜まった大量の糞尿を買い取り、農村に肥料として売却された。それはまた、人間にとって不可欠な食料を生み出す。江戸時代のそのような〈循環型社会〉を企画の背景に用いたことについて、日本を代表する美術監督であり、本作の企画プロデューサーである原田満生は「江戸時代は資源が限られていたからこそ、使えるものは何でも使い切り、土に戻そうという文化が浸透していた。人間も死んだら土に戻って自然に帰り、自然の肥料になる。人生の物語もまた、肥料となる。自然も人も死んで活かされ、生きる。この映画に込めた想いが、観た人たちの肥料になることを願っている」と語る。
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映画『せかいのおきく』2023年4月28日(金) GW全国公開
(c)2023 FANTASIA 公式サイト:sekainookiku.jp
脚本・監督:阪本順治 出演:黒木華 寛一郎 池松壮亮
配給:東京テアトル/U-NEXT/リトルモア