鉄の暴風と言われた激しい空襲、艦砲射撃、上陸戦の絶望に追い込まれた太平洋戦争末期の沖縄戦。その中でなお「生きろ!」と後世に一筋の希望を託した2人の官僚と沖縄の人々の物語を映画化。『島守の塔』が 7 月22 日(金)よりシネスイッチ銀座ほかにて全国公開。
県民の 4 人に1人、約20 万人が犠牲となった日本国内唯一の地上戦「沖縄戦」。「命(ぬち)どぅ宝、生きぬけ!」と叫んだ 2 人の官僚と、「沖縄戦」に翻弄される沖縄県民。それぞれの苦悩と生きることへの奮闘を描き、沖縄本土復帰50 周年の節目に「命の尊さ」を次世代に継承する映画が誕生しました。
戦中最後の沖縄県知事として赴任し、軍の命令に従いながらも県民の命を守ろうとした島田叡(あきら)役には映画やドラマへの出演だけでなくマルチに活躍している萩原聖人。職務を超えて県民の命を守ろうと努力した警察部長の荒井退造役には日本映画界に欠かせない俳優・村上淳。実力派俳優の共演が実現。また、島田の世話役の県職員・比嘉凛を吉岡里帆が熱演。凛の妹で看護学徒隊の比嘉由紀を池間夏海が、映画「ひめゆりの塔」に出演していた香川京子が現代の凜を演じています。監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』など社会派作品で知られる五十嵐匠。
<コメント>
●萩原聖人
東日本大震災を知らない世代がいるように、時間の流れは速く、次の時代を作っていきます。この作品で語られていることは僕自身も詳しくは知らない事が多かったです。どんなに時間が早く過ぎても決して忘れてはならない事が描かれた映画です。正に今、そんな時代だからこそ、沢山の方に観ていただけたらと心から思っています。
●村上淳
この作品が伝えるべき”核”となるメッセージはスクリーンにあります。この作品に参加できたことを誇りに思います。五十嵐監督の優しい執念のようなものに守られた作品だなと思います。画に写るすべての役者たちの”顔”がいい。フレームの外の気配。この作品がどうみなさまに写るのか。どうぞよろしくお願いいたします。
●五十嵐 匠(監督・脚本)
映画「島守の塔」を監督するため、3年間沖縄に通い、数多くのガマにも入りました。ガマの暗闇の中、沖縄戦で何か月もそこで息をこらしていた多くの沖縄の人々のことを思いました。ひめゆり平和祈念資料館では修学旅行の女子生徒がひめゆり学徒隊の日記を読み、ボロボロ涙を流していました。日本兵と共に南へ下った何万人もの人々が摩文仁で命を落とし、その道々に今でもその人々が立っているような錯覚を覚えました。沖縄では「戦争が終わっていない」と思いました。現在、ウクライナで戦争が起こっていますが、製鉄所の地下で息をひそめるウクライナの人々がガマの中の沖縄の人々とダブってしまいます。過去の歴史に何一つ学んでいない人間の愚かしさと悲しさを思います。映画「島守の塔」は、コロナ禍のため、撮影途中で中止になり、完成が危ぶまれました。しかし、1年8カ月の延期の末、この作品を「必ず、世に出す」という、スタッフ・キャスト、そして製作委員会やサポーターの皆さんの強い意志が映画「島守の塔」を生み落としました。奇跡のような映画だと思っています。
©2022 映画「島守の塔」製作委員会