映画史の闇の中から忽然とその名を表した選りすぐりの、怪作、珍作、奇作、迷作、異作が今年も目白押し。昨年は『ウィッカーマンfinal cut』などで好評を博しましたが、第3回目となる本年の注目作品は、『去年マリエンバートで』『ブルジョアジーの密かな愉しみ』のデルフィーヌ・セイリグが謎めいた優雅な伯爵夫人に扮するハリー・クーメル監督『赤い唇』。その類いまれな美貌とカリスマ性がスクリーンを赤く染める本作は、「血とバラ」以来の、最も芸術的な吸血鬼映画と当時の「NEW YORK TIMES」も絶賛したほど。今回が満を持しての日本初公開となります!その他、映像の魔術師ニコラス・ローグの衝撃のサイコスリラー『赤い影』、デヴィッド・リンチなどにも大きな影響を与えたことで知られる、怪奇幻想映画史に輝くカルトホラー『恐怖の足跡』、イギリスの代表的な監督4人が演出した5話から成るホラーアンソロジーの古典『デッド・オブ・ナイト』、ルイス・ブニュエル監督『銀河』、『アルチバルト・デラクルスの犯罪的人生』の2作品。ブラジルの白熱の大地が生んだ狂気の作家グラウベル・ローシャが描いた壮大な伝説と神話の世界『アントニオ・ダス・モルテス』、『チャパクワ』のコンラッド・ルークスがヘルマン・ヘッセ原作で制作した『シッダールタ』、推理小説史の古典的名作『黄色の部屋の秘密』をマルセル・レルビエが監督したトーキー創世記のミステリー『黄色の部屋』、ボリス・カーロフ、ベラ・ルゴシ2大怪優の初共演作として名高い怪奇ホラー『黒猫』、映画史上初めて”幽霊”を登場させたクラシック・ホラー『呪いの家』、そして昨年大ヒットした『ウィッカーマン final cut』のアンコール上映、計12作品となります。
また、今回の奇想天外映画祭のビジュアルは、一昨年、NHK・Eテレ日曜美術館でも特集され反響を呼んだ、異端の絵本作家スズキコージの書下ろし。『赤い唇』のデルフィーヌ・セイリグが中心に、本映画祭で上映される作品のキャラクターが、スズキの独特なタッチで、配置されている。
何かと心が休まらない昨今、劇場の暗闇で、怪しくも輝かしい魅力を放つこれらの作品群を是非ご堪能下さい。
◆「奇想天外映画祭 Bizarre Film Festival Vol.3」開催概要◆
場所:新宿K’s Cinema 新宿区新宿3丁目35−13 SHOWAKANビル
日時:2021年9月4日(土)~24日(金)
配給:アダンソニア/配給協力・宣伝:ブライトホース・フィルム/イラスト:スズキコージ/デザイン:渡辺純/字幕:林かんな(『赤い唇』)/協力:仙元浩平