宝島(2025) 感想・レビュー 6件

たからじま

総合評価4点、「宝島(2025)」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「鎌倉の御隠居」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2025-10-19

 真藤順丈の大作を大友啓史監督が映画化したと知り、公開前から興味津々。主演は妻夫木聡と広瀬すず。これに窪田正孝、瑛太、塚本晋也、瀧内公美と並んでキャストも自分好み。冒頭は原作通り。この勢いで行くのかなと思っていたら、場面いきなり時代飛んで第2部、妻夫木聡扮するグスクが塚本晋也の徳尚さんとともに刑事になっている。沖縄の困難、悲痛が物語が中軸となって展開する脚本に、これは戦後80年を強く意識した造りなのかと、にわかに居住まいを正さずにいられなくなった。広瀬すずのヤマコが教師になり、その小学校に米軍機が墜落する。作品の佇まいは、原作の青春小説たる印象が大きく編み直され、沖縄の本土復帰に至る悲痛極まりない戦後史の重みが前面に押し出されてくるものとなっていた。それがため、原作の思い切った細部割愛も当然で、ここは原作を知ったうえで観ないと、きっとよく分からないだろうな、と思わされるシーンも多くあった。しかし、そうした割愛、改編等、加えて諸事情勘案して受け止めながら、大友啓史が本作で強く訴えたいと考えたのだろう沖縄の憤怒、というものの底深さ、日米両国の理不尽に、強く心を揺さぶられることとなった。暢気に沖縄観光を楽しもう、などと浮き立ってはいられない。いまなお一向に刷新されない沖縄の現況を、あらためて真っ直ぐ受け止めなければならない。東京出身の作家の原作で、主要な登場人物はすべて本土の役者。なにが沖縄問題か、と違和感を持つ人はきっと多いだろう。作中、なんども、本土の人間には分からない、という趣旨のセリフが発せられる。確かに自分が生きる世界と地続きの問題なのに、あまりに多くが他人事として済ませたままでいる。眼を背けてはならない重要課題なのに、みんな(自分も含めて)日頃無関心すぎる。それでも、こうした大きな映画になって、あらためて広く突きつけられることにこそ意味がある。とりわけ1970年の忘れてはならないゴザ暴動の描出は圧倒的で重要なシーンとなっている。沖縄の慟哭に観ながら胸締め付けられるばかりであった。原作には及ばない点多々ある。それでも原作とは異なる沸騰感ととも発せられた重要なメッセージは明快で、別の重みある映画作品として必見の一本と推奨したい。エンドクレジットで並ぶモノクロ写真が、そう納得させる感を増幅させる。

P.N.「ビール党」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2025-10-14

今回は厳しい評価をつけさせてもらいます。予告編などの自分の期待値などから世間の酷評などなんのその、と観に行ったのですが…。演出が悪い、画が悪い、脚本が悪い、特に脚本が悪い、と言うより構成の問題でこれにより二時間に収まればまるで違う映画になったのではないのでしょうか。演出に関しては個人的な感想として、冒頭のオンちゃんのカットで、「あれ?アップが無い」、グスクが車から花束を捨てるカットでおそらく後ろに落ちてくる所を期待したのでしょうがそれが無い、つまり撮り直して無い(わかりませんが)。25億円の製作費それは結構、まあお金使ったのはわかるのですがなら脚本をなぜ練らない、演出に凝らない。「鉄男」の塚本晋也監督も出演していました。彼にお金の使い方を教えてもらったら良かったと思います。

P.N.「shimashima」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2025-09-28

圧倒される映画。3時間超える映画だが、まったく長さを感じさせない濃密さと熱量があった。沖縄の戦中、戦後については本やテレビなどである程度知ってはいても、登場人物の強烈な体験に飲み込まれ、迫力ある映像や音に感情を揺さぶられ、いかに沖縄が苦汁をなめさせられてきたかを改めて感じさせられる。特に俳優陣の渾身の演技が素晴らしかった。登場人物はフィクションでも、沖縄で実際に起きた事件にかかわっていく確かな存在感があった。沖縄のことばや歴史などついて簡単な知識があると理解しやすいとは思うが、登場人物の怒りや喜び、悲しみに素直に身を任せて映画を楽しむこともできるだろう。原作の語り部のユニークさとは一味違う、映画ならではの直接的鮮明さを感じた。現代の日本の在り方について考えさせられる。多くの人々に、できれば海外の人々にも見てほしい映画。原作もぜひ読んでみてほしい。

P.N.「泣いて、笑って、闘って、」さんからの投稿

評価
★★★★
投稿日
2025-09-25

正に、副題を与えるなら、こんな感じ。

シーン毎は素晴らしいく、監督の手腕が生かされていますが、リズムを刻み、メロディが生きない若者が好みやすい音楽の様に、滑らかに流れる水の様なメロディが無い作品。

なので、出来は悪くないが、何かが欠けていると感じます。

ジャズでも、ベースやドラムよりスイング、歌心、メロディラインが死んでいます。

名曲は、メロディラインがしっかりとあり、美しい。

この作品には、あるはずの島唄が無いのです。

歌心、詩心は、世界共通語。

それは、奥底の魂を呼び覚ます、感情へ訴えかける。

数学でさえ、詩心が無いと真に理解出来ないと言われています。

出来映え素晴らしいが、メロディが、

P.N.「zil」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2025-09-23

※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]

社会派を装ったエンタメで感動を呼び込む映画はたくさんありますが、エンタメ作品でありながら、エンタメを超えた本格的な骨太の社会派映画を観たのは初めてでした。
想像以上に時代考証、再現性が優れていて、フィクションのストーリーテリングを支える背景や事件は歴史的事実に取材し、リアリティを持って描かれる米軍占領下を生き抜いた沖縄の人々の逞しさ、理不尽さ立ち向かい、奪われた尊厳を取り戻そうと立ち上がる姿に、何度も胸を打たれて涙が出ました。
この時代を題材にした映画は皆無に等しく、本土日本人の私が知らなかった沖縄の戦後史を、沖縄の心を、よくぞここまで描いてくれたと感謝しています。俳優陣の神がかった演技も素晴らしかった。こうして欲しかったと思う点もありますが、それ以上に受け止ったものが大きく、観る機会を得て本当に良かったと思える作品でした。

P.N.「ぷーたろう」さんからの投稿

評価
★★★☆☆
投稿日
2025-09-19

 191分は商業映画としては長すぎる。当時の沖縄を時系列に沿い、そこにエピソードを絡ませるのだが余りにもエピソードが有りすぎ全体が散漫になりセリフが沖縄なまり、と感情を込めてのセリフのため意味が聞きとりにくい。字幕をつけてほしかった。お金をかけたわりにイマイチ、カメラワークもワンパターン期待はずれでした。

最終更新日:2025-10-20 16:00:02

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