英雄の証明(2021) 作品情報
えいゆうのしょうめい
イランの古都シラーズ。元看板職人のラヒム(アミル・ジャディディ)は借金を返せなかった罪で投獄されている服役囚だ。そんな彼の婚約者ファルコンデ(サハル・ゴルデュースト)が、偶然にも17枚の金貨が入ったバッグを拾う。それは、まさしく神からの贈り物のようだった。借金を返済さえすれば、その日にでも出所できるラヒムは、金貨を元手に貸主のバーラム(モーセン・タナバンデ)に訴訟を取り下げてもらおうと、義兄ホセイン(アリレザ・ジャハンディデ)と奔走するが示談交渉は失敗。いつしか罪悪感を持ち始め、金貨を落とし主に返すことを決意する。そのささやかな善行は、メディアに報じられ大反響を呼び、ラヒムは“正直者の囚人”という美談の英雄に祭り上げられていく。姉のマリ(マルヤム・シャーダイ)や、吃音症の幼い息子シアヴァシュ(サレー・カリマイ)も、そんなラヒムの姿が誇らしい。借金返済のための寄付金が殺到し、出所後の就職先も斡旋されたラヒムは、未来への希望に胸をふくらませる。ところがSNSを介して広まったある噂をきっかけに状況は一変。周囲の狂騒に翻弄され、汚された名誉を挽回するため、ラヒムは悪意のない嘘をついてしまう……。
「英雄の証明(2021)」の解説
「別離」(12年)、「セールスマン」(17年)で米アカデミー賞外国語映画賞を2度制したイランの巨匠アスガー・ファルハディの最新作。2021年・第74回カンヌ国際映画祭グランプル受賞。服役中の休暇に拾った金貨を着服しなかった男が、SNSやメディアの絶大な力で英雄と持ち上げられていく一方、詐欺ではないかと疑惑の目が向けられるヒューマン・サスペンス。主人公の振れ幅の大きな運命を通して、真実というものの曖昧さや、社会に潜む欲望とエゴを現代的な切り口であぶり出す。借金に苦しむシングル・ファーザーのラヒムを、テニス選手としても活躍するアミル・ジャディディ、ラヒムをペテン師呼ばわりするバーラムを「50人の宣誓」(2019年東京国際映画祭出品)の監督モーセン・タナバンデが演じた。普遍的な倫理観をテーマに、主人公を信じる者、愛する者、慕う者、憎む者、利用する者どもの様々な視線が重なりあう。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2022年4月1日 |
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キャスト |
監督:アスガー・ファルハディ
出演:アミル・ジャディディ モーセン・タナバンデ サハル・ゴルデュースト サリナ・ファルハディ |
配給 | シンカ(提供:シンカ=スカーレット=シャ・ラ・ラ・カンパニー=Filmarks) |
制作国 | イラン=フランス(2021) |
上映時間 | 127分 |
(C) 2021 Memento Production - Asghar Farhadi Production - ARTE France Cinéma
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-08-29
SNS社会で振り回される中で人は,一体どう生きて行くべきかを真に問う作品と為った