セラフィーヌの庭 作品情報
せらふぃーぬのにわ
1912年、フランス・パリ郊外サンリス。家政婦として生計を立てていたセラフィーヌ(ヨランド・モロー)は、草木や花々に話しかけ、部屋にこもって黙々と絵を描く日々を送っていた。ある日、彼女の働く家に、ドイツ人画商ヴィルヘルム・ウーデ(ウルリッヒ・トゥクール)とその妹アンヌ・マリー(アンヌ・ベネント)が引っ越してくる。その家を管理する女主人が、芸術愛好家を招いて食事会を開き、同席したウーデは部屋の片隅に置かれたセラフィーヌの絵に衝撃を受ける。彼はセラフィーヌに描くことを強く勧め、最初は自分がからかわれていると思い耳をかさなかった彼女であったが、援助を申し出るウーデの言葉に心が動かされていく。やがて彼女は、画材を自由に購入しながら、作品を次々に完成させていった。だが、1914年、第一次世界大戦が始まり、敵国の人となったウーデはフランスを離れざるを得なくなり、妹とともに戦火が激しくなったサンリスから逃避する……。1927年。フランスに戻ったウーデは、サンリス市役所で展覧会が開かれるという話を聞き、もしやと思って行くと、そこには以前より更に内容の深まったセラフィーヌの大作が展示されていた。ウーデは彼女のアパートを訪ね、絵を褒め称え、再び援助を約束する。広い部屋を借り、沢山の画材を買い占め、絵を描くことに没頭していくセラフィーヌ。しかし、1929年、世界恐慌の煽りを受け、ビジネスが滞り始めていたウーデは、浪費を繰り返すセラフィーヌを見かねて、援助の中止と個展の延期を伝えるのだった。セラフィーヌは激しく動揺し、執拗にウーデを罵り、彼の話を聞こうとしなかった。ふたりの気持ちは次第にすれ違い、純粋無垢なセラフィーヌの心は壊れていく。そしてある日、遂に彼女はある行動にでる……。
「セラフィーヌの庭」の解説
実在したフランスの画家セラフィーヌ・ルイの貧しくもピュアな人生を、20世紀激動の時代を背景に描く伝記ドラマ。監督は「シビルの部屋」に出演後、監督として活躍するマルタン・プロヴォスト。出演は「ベティの小さな秘密」のヨランド・モロー、「アイガー北壁」のウルリッヒ・トゥクール、「スワンの恋」のアンヌ・ベネントなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2010年8月7日 |
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キャスト |
監督:マルタン・プロヴォスト
出演:ヨランド・モロー ウルリッヒ・トゥクール アンヌ・ベネント ジュヌヴィエーヴ・ムニシュ フランソワーズ・ルブラン ニコ・ログナー セルジュ・ラヴィリエール アデライト・ルルー |
配給 | アルシネテラン(協力 ユニフランス) |
制作国 | フランス ベルギー ドイツ(2008) |
上映時間 | 126分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-12
伝記映画の主人公になるようなアーティストは、たいてい破滅的な運命をたどるものだ。
その理由は、創作上の葛藤、酒、女、孤独などさまざまだが、この2009年度フランス セザール賞作品賞受賞の映画「セラフィーヌの庭」は、それらと別次元の”聖なる破滅”とでも言うべき、女流画家の壮絶な人生を描いている。
パリ郊外とはいえ、1910年代とあって緑がいっぱいの田舎で、通いの家政婦として働く初老のセラフィーヌ。
一人暮らしで無愛想だが、自然の中で呼吸するように絵を描く彼女を、中央画壇に売り出したドイツ人の画商ウーデ。
自然を愛し、信仰厚い土着の魂と、芸術共和国の市民の自由な精神とが、離れ離れになりながら苦闘を重ねる。
これは、その奇縁の物語だ。
写し出されるセラフィーヌの絵の圧倒的な質感と、フランスの田舎の豊饒な色彩を捉えたカメラが素晴らしい。