テロリスト 幽閉者 作品情報

てろりすと

空港襲撃作戦メンバーのM(田口トモロヲ)。林檎の木の下、ゲリラ基地の仲間たちと肩を抱き合い別れを告げる。Mは、仲間とともにオリオンの三ッ星になることを誓い、自爆攻撃を決行した。空港襲撃作戦は成功するが、Mの手榴弾だけが不発。仲間は自決し、この地獄の現実に、ひとりMだけが取り残されてしまう。捕らえられたMを保安隊員たちが襲う。死に損ねた悔しさに、死を望むMだが、保安情報部の中尉らはMを、精神的、肉体的に痛めつけ、次の作戦計画を吐かせようとしていた。『なぜだ! なぜ俺だけ生き残ってしまったんだ!』独房の中のMは、悔しさに叫び続ける。『殺せ、殺せ、殺してくれ!』軍事法廷にかけられるM。「弁護は不要、自ら死刑を望む」「俺たちは自爆してオリオンの三ッ星になるはずだった!」とMは叫ぶ。しかし、彼に下された判決は、無期刑。次の作戦計画を自供すれば、死を許すという保安隊員らの言葉を信じ、Mは、自白してしまう。そして、渡されたピストルをこめかみにつけ、Mは息を飲み、自決した二人の後を追おうとする。だが、そのピストルに、銃弾は込められていなかった…。俺はいつもすぐに信用してしまうんだ。自分の愚かさを責めるM。犬のように飼育され、人体実験の注射が繰り返される。独房、水攻め、糞尿地獄…。彼らは、それを“豚の飼育”と呼んだ。独房に次々と訪れるMの破壊者たち。破壊することを楽しむ彼らに、狂気を装って抵抗するM。ポツンポツン…と真っ暗な狭い箱の中で、水滴の拷問が繰り返される。それが、次第に脳をかち割る轟音となり、反復するリズムとともに、自分の原点、情けなかった少年時代の記憶がよみがえってくる。繰り返されるリズムとともに狂気に満ちていくMの前にあらわれるのは、宗教の導師、過去に幽閉された革命家たち、肖像人物(PANTA)、真面目屋(梶原譲二)、マフラー男(大久保鷹)の幻影。彼らはMに、“君は君自身だということ。”“自分の原点に還れ”と助言する。加速していく“豚の飼育”の中で、Mは、従順になることをおぼえる。マゾヒズムを装い、そして、実行する。果たして、それは本当にMの装いなのか、それとも…。Mは、自分が自分であることとは何か、この装いと繰り返す自問は俺自身の存在を確かめることなのか、自分をめぐる問いかけの中で、徐々に混乱していく。Mの独房には、痩せの囚人(山本浩司)が送り込まれ、Mの調教と観察をする。犬のように振舞うM。だが、狂気に満ちたMの前に出された林檎が、ひとすじの光をもたらす! 狂気と幻想の中で、Mは自問を繰り返す。だが、怒りと悔しさとともに、否応無く記憶は遠のいてゆく。そして、破壊されかけたMの精神と肉体は、ついに、本当の狂気へと足を踏み入れてゆく。ある時、檻の鍵が開けられていた。Mは、長い長い廊下を進み、一気に外の空気を求めて突き進む。気がつくと、Mの後ろには大勢の囚人たち。彼らとともに、精一杯走り続ける。歓喜に満ち、走り続けるM。だが、また牢屋の前に戻ってきてしまった。これは、隊員たちの企みなのか、それとも、Mの幻影だったのか……。

「テロリスト 幽閉者」の解説

テロリストMは、ひとり独房へ入れられてしまう。様々な拷問に、Mの神経はすり減っていく。「略称・連続射殺魔」の足立正生、35年ぶりの監督作。この映画のモデルとなったのは、1972年”リッダ空港事件”の主犯のひとり、岡本公三。主演は、幅広い役を自在にこなす田口トモロヲ。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2007年2月3日
キャスト 監督足立正生
出演田口トモロヲ PANTA 大久保鷹 梶原譲二 ARATA 本多章一 山本浩司 柄本時生 岡部尚 平松ゆたか 比嘉愛未 赤瀬川原平 瓜生良介 小林勝也 流山児祥 仲野茂 葉月螢 若松孝二 松田政男 平岡正明 松島利行 渚ようこ 秋山祐徳太子 加藤好弘 四方田犬彦 瀬々敬久 伊藤清美 荻野目慶子
配給 スローラーナー
制作国 日本(2006)
上映時間 113分

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最終更新日:2023-01-05 02:00:07

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