シルミド SILMIDO 感想・レビュー 2件
しるみど
総合評価4点、「シルミド SILMIDO」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-01
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
彼らを取り巻く政治状況は、いつしか南北対話の方向へと進み、秘密部隊は無用どころか、かえって邪魔な存在になってくるのだ。
そうなると、当時の韓国の政権が考えるのは、誰もその存在を知ることもないまま、彼らを闇から闇へと抹殺することだったのだ。
韓国に現在のような自由や民主主義がなかった時代には、秘密裏に葬り去られた”歴史的な事実”が数多くあると言われている。
そのひとつである、シルミド部隊の真相を、この映画はドラマで飾ろうとせずに、できるだけ現実に即して鮮烈に描き出していると思う。
このように、歴史上の隠された秘史が明かされる衝撃もさることながら、大きな力に翻弄される隊員たちの哀れな心情が、男ばかりの世界に徹して骨太に表現されていて、実に見事だ。
そして、クライマックスで、自分が自分であることを確認するために、各自が床に血文字で名前を記す時の彼らの思いは、観ていてなんとも切ない。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-01
この韓国映画「シルミド」は、朴正熙政権下の1968年が舞台。
北朝鮮へ亡命した父親を持つヤクザ(ソル・ギョング)が、殺人未遂事件を起こして死刑判決を受ける。
死刑執行を待つ彼の独房に、秘密部隊の隊長(アン・ソンギ)が訪れ、放免と引き替えに、決死の任務に就く誘いをかけてきた。
そして、同じようにして集められた半端者が31名、仁川沖の孤島、実尾島(シルミド)に幽閉され、熾烈な軍事訓練が開始されることになる。
その任務とは、北朝鮮へ極秘裏に潜入して、金日成主席の命を奪うことだったのだ。
これは、この年の初頭に北朝鮮のゲリラが、韓国の大統領官邸に迫った事件への報復のためなのだ。
それを果たせば、一躍、英雄になり自由を与えられると聞かされ、隊員たちは命懸けで腕を磨き出撃するが、途中でなぜか作戦が中止になってしまう。
政治状況は、部隊と関係なく、刻一刻と変化し流動化してしまうものだ。