蝶の夢 作品情報

ちょうのゆめ

マッシモ(ティエリー・ブラン)は14歳のとき以来、何に傷ついたのか、何を恐れたのか、通常の言葉の使用を拒絶している。演出家のジュリアーニは彼の才能に引かれてその父である古代思想研究の教授(ロベルト・ヘルリツカ)に会い、その事情を知って愕然とし、マッシモの母である詩人(ビビ・アンデルション)に、彼の物語を下敷きにした戯曲の執筆を依頼した。マッシモに心を開かせようと両親も、物理学者の兄カルロ( ヘンリー・アーノルド)も、兄嫁のアンナ(ナタリー・ブトゥフー)も様々な努力を重ねるが、彼が心を開くのは、一家の屋敷に隣接する森に住む少女(シモーナ・カバラッリ)だけだ。母の戯曲の稽古では、演出家がマッシモから的確なエモーションを引き出せないでいた。夫との仲が冷めたアンナは、マッシモを誘惑しようとするが、彼は森に住む少女にしか関心を持っていない。やがて二人はオートバイで旅に出る。言葉を交わさないまま、沈黙のなかで二人の純粋な絆は一層高まる。やがて二人はクレタ島に渡り、家族一同もそこで合流した。だが一家が再び集合したテントの下の食卓を、大地震が襲った。

「蝶の夢」の解説

14歳のときに通常の言語を拒否し、天才俳優になった息子と、彼をめぐる知識人一家の精神的変遷を、簡潔な映像と哲学的な台詞で綴るドラマ。タイトルは荘子の『胡蝶の夢』から取られている。監督は『ポケットのなかの握り拳』(自主上映のみ)で衝撃的なデビューを飾り、以来人間と既存の制約との葛藤を描きつづけている「肉体の悪魔」「サバス」のマルコ・ベロッキオ。製作はリヴィノ・ネグリ。脚本はベロッキオが前作『La Condanna』に続いて組んだ、「肉体の悪魔」以来の公私にわたる相談役である精神科医のマッシモ・ファジオリ。撮影は「ユリシーズの瞳」などテオ・アンゲロプロスの全作品を手掛けている「太陽と月に背いて」のヨルゴス・アルヴァニティス。音楽はカルロ・クリヴェッリ。編集フランチェスカ・カルヴェッリ。出演は「不良少女モニカ」をはじめとするイングマル・ベルイマン監督作品の大女優ビビ・アンデルションを始め、本作が映画デビューとなるティエリー・ブラン、イタリア映画期待の新人女優シモーナ・カヴァラッリ、ナタリー・ボトゥフー、ロベルト・ヘルリツカ、ヘンリー・アーノルド、アニータ・ローレンツィなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1997年2月15日
キャスト 出演ティエリー・ブラン ロベルト・ヘンリッカ ヘンリー・アーノルド ナタリー・ブトゥフー シモーナ・カヴァラーリ Anita Laurenzi ビビ・アンデショーン
配給 エスパース・サロウ配給(新日本映画社提供)
制作国 イタリア フランス(1994)
上映時間 111分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:42

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