逃亡者(1947・日本) 作品情報

とうぼうしゃ

ヤミ肥りの商事会社に忽然と現われて金をさらって行く謎の怪盗「この金は二割を手数料にもらって、残額全部は戦災孤児援護会に寄付する」という怪盗の捨てぜりふは、いつもそのまま事実となって現われ、その果断な実行力はちまたの人々の溜飲を下げていた。「鼠小僧」と呼ばれるこの怪盗成島慶三は、ある日故郷の少年たちに会い少年の口から故郷登美島の小学校で恩師今井先生の二十五年勤続の祝いがあると聞かせられフト郷愁がわいた。その時彼を捕えるため警官がやって来た。慶三は巧みに逃げたが、少年たちはそれが「鼠小僧」であることを知り同時に自分たちと同じ島の出身者であると知って誇らしい気持ちにさえなるのであった。警官の目を逃れて登美島に帰った慶三は懐かしい今井先生に会い、昔の恋人で今は一人の子供を頼りに生きている幼友達の近藤せんの旅館に宿をとった。島では有名な「鼠小僧」がこの土地の出身者だという噂が高まりやくざ気質に夢を持つ少年たちがこれを英雄視する気風と、彼の行為をまねる小さな犯罪さえ起きた。やがて慶三が「鼠小僧」であることを知った今井先生は、おせんにも忠告して彼の自首を促したが、慶三はちょうど島に来合せた巡査部長が実はヤミ屋の片棒を担ぐ敗徳者であることを知っているので、彼に捕えられることを拒んだ。しかし年貢の納め時を悟った慶三は、せめて島の少年たちを悪から救うために、島の駐在所の老巡査栗原に捕えられることを約束し、折柄授業中の子供たちの中に逃げ込んだ。みじめに捕われた「鼠小僧」は少年たちの嘲笑の目の中を静かな足どりで引かれてゆく。

「逃亡者(1947・日本)」の解説

「宵祭八百八町」に次ぐ井上金太郎の脚本で、仁科紀彦監督(故山中貞雄の師で「右門捕物帳」(東亜)「戸並長八郎」(新興)などの作がある)の大映における第一作。カメラは「七つの顔」「十三の眼」の石本秀雄が担当、「天下の御意見番を意見する男」の大友柳太朗と「恋三味線」の月宮乙女、「轟先生」「母の灯」(松竹)の瀧花久子が主演し、大友柳太朗最初の現代劇。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督仁科紀彦
出演大友柳太朗 瀧花久子 月宮乙女 沢村マサヒコ 見明凡太郎 北龍二 村田宏寿 上田寛 町田仁 久原亥之典 平野邦彦 仁科まり子 南部章三 水原洋一
配給 大映
制作国 日本(1947)
上映時間 77分

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「逃亡者(1947・日本)」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2022-07-26 11:03:45

広告を非表示にするには