月蝕 作品情報
げっしょく
あの女はもういない--ナイトクラブ“バリハイ”の殺人現場でバンド・マスター和馬は思わず呟いた。殺された女、綾子は、夜毎に歓楽街に現れ相手の男を変えて行く、が享楽以外の何かを求めているような女だった。その不思議なベールがこの女を月蝕のように神秘な美しさに見せていた。和馬が綾子と逢った頃、彼女にはフィリピン人のバンド・マスターレオとボクサーの松木という二人の男がいた。和馬は初恋の寿美恵に自殺され、傷心の身で女給幸子と付き合っていたが、次第に綾子に魅かれていった。一方フィリピンへ帰国するレオは無理強いに綾子を同行しようとしたが松木のパンチに倒れた。この騒ぎの中に和馬は友人の武井と高崎にめぐり会った。武井には商事会社社長片山と、デザイナー達子の連れがあった。綾子は、かつて片山と婚約していたが達子は自分の商売のため片山を横取り、娘の礼子と結婚させたのだ。男への不信と復讐のため綾子は義父に身を委せ、以来転落の道を辿ったが、片山への復讐心は今も強く燃えていた。この事実を打明けられた和馬は、自分が一層綾子と近づいて行くのを感じた。やがて綾子は、自分の肉体を土台に武井と高崎を利用、片山商事も義父の池上工業も壊滅寸前に追込んだ。だが一方では急速に綾子と近寄った高崎に、松木が復讐を誓っていた。それはタイトル・マッチの王者になることだったが、邪念が禍いしリングに死んだ。松木の死は綾子の心を大きく揺すり、復讐も無意味に思えてきた。さまよう綾子は、自分のために自殺した幸子によって真の愛を知った和馬と結ばれた。結婚披露を明晩に控え、二人は新しい人生の喜びに輝いた。その時、再び日本に戻ったレオの、恋に狂った拳銃が綾子を射った……。あの女はもういない--と、和馬は呟いた。
「月蝕」の解説
男への復讐に身をやきながら自らも傷つきゆく弱い女。恋愛心理の微妙さを描き出した石原慎太郎原作の映画化。脚色は井上梅次と「悪の報酬」の舛田利雄の共同、監督は「ニコヨン物語」の井上梅次、撮影も同じく岩佐一泉。主な出演者は「感傷夫人」の月丘夢路、「飢える魂」の三橋達也、「地底の歌」の石原裕次郎、「若いお巡りさん」の中川晴彦、「デンスケの宣伝狂」の東谷暎子その他、天路圭子、藤代鮎子、岡田眞澄、金子信雄など。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:井上梅次
原作:石原慎太郎 出演:三橋達也 月丘夢路 金子信雄 安部徹 石原裕次郎 岡田眞澄 藤代鮎子 中川晴彦 高野由美 東谷暎子 伊丹慶治 三鈴恵以子 小柴隆 泉桂子 林茂朗 今村弘 雪岡純 天路圭子 山田美智子 天本英世 杉幸彦 柴田新 西村晃 二階堂郁夫 浦島久恵 三島謙 青木富夫 長井文男 峰三平 仲島豊 阿部幸四郎 |
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配給 | 日活 |
制作国 | 日本(1956) |
上映時間 | 103分 |
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