或る女(1954) 作品情報
あるおんな
明治三十年代のはじめ、早月葉子は母親佐の反対を押しきって当時文名のあがった新聞記者木部孤きょうと結婚した。葉子にとって、これは幸福を求めてのやむをえぬ母への反逆だったが、結婚後の木部の女々しい生活態度は彼女を失望させた。すでに妊娠していた葉子だったが、彼女は孤きょうに離婚を宣言し、鎌倉の住居を去って日本橋釘店の実家へ一応帰った。思いきった葉子の行動に母親佐は興奮のあまり卒倒し、そのまま床につく身となった。病中、親佐と葉子は漸く真に理解しあうようになったがそれも束の間、親佐は帰らぬ人となった。親戚一同は、母の遺言と称して葉子をアメリカにいる木村と結婚させることにきめた。里子に出している定子や妹愛子と別れ、葉子は絵島丸に乗船してアメリカに向った。航海中、葉子は絵島丸の事務長倉地三吉の男性的な魅力にはげしく惹かれ、アメリカに着いたとき、病気と偽って、迎えにきた木村ともちょっと会ったきりで上陸せずに日本に戻り、倉地と同棲生活を営んだ。この出来ごとはスキャンダルとして新聞に報道され、倉地は会社から馘首されて、金を得るために秘密の仕事をしていた。妹愛子を引取って生活するようになったころ、葉子は次第に健康を害し、同時にヒステリー症がつよくなってことごとに倉地や愛子にあたった。一方倉地は機密海図を外国人に売っていたのを当局に探知され、姿をくらましてしまった。葉子の病状はいよいよ悪化して入院することになり、手術のかいもなく、幸福を求めて苦しみつづけた一人の女葉子は、ついに苦悩のうちに死んで行った。
「或る女(1954)」の解説
明治四十四年より大正二年にかけて雑誌“白樺”に連載された有島武郎の小説の映画化。「ひよどり草紙(1954)」の八住利雄の脚本を「雁(1953)」の豊田四郎が監督している。撮影は「無法者」の峰重義、音楽は「花と竜 第一部」の団伊玖磨。出演者は「地獄門」の京マチ子、「心の日月」の若尾文子、「燃える上海」の森雅之、「にごりえ」の芥川比呂志、「金色夜叉(1954)」の船越英二、浦辺粂子などである。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:豊田四郎
原作:有島武郎 出演:京マチ子 夏川静江 馬淵なほみ 若尾文子 芥川比呂志 沼田曜一 船越英二 森雅之 信欣三 滝花久子 河原侃二 長岡輝子 浦辺粂子 小田切みき 岡村文子 星ひかる 近衛敏明 |
---|---|
配給 | 大映 |
制作国 | 日本(1954) |
上映時間 | 128分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「或る女(1954)」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。