P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2023-11-10
篠田正浩監督の「卑弥呼」は、日本の古代史について、一つの奇抜な幻想を展開してみせた映画だ。
脚本を書いた富岡多恵子と篠田正浩は、有名なヤマタイ国の女王・卑弥呼を手掛かりとして、古代日本を、アマツカミをまつる国と、クニツカミをまつる国との対立抗争という局面で捉えている。
卑弥呼(岩下志麻)は、このアマツカミをまつる国の巫女であり、物語はこの国の内部の政権争いと、クニツカミをまつる国を征服することとが、ないまざった形で進行するが、実のところ、その政治的な葛藤は、卑弥呼とオオキミやその息子たち、宰相のような立場にある老人(三國連太郎)、卑弥呼の弟のタケヒコ(草刈正雄)などの複雑に入り組んだ関係が、かなりわかりにくい。
古代日本の政治とシャーマニズム、それとエロスとの関わり合いなど、発想はたいへん奔放に思われるが、印象に残るのは主として、視覚的な奇抜なアィディアだ。
篠田正浩監督は、次々と風変わりな映像を打ち出してみせているが、いささかとりとめがなかったような印象を持ちましたね。