P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-02-20
日本映画でこれほど理詰めに展開される作品も珍しいと思います。
夏樹静子さんの原作による劇中劇の登場人物にしろ、全ての人物やセリフがクロスワード・パズルのヒントのように、見事に配置されていて、映画が終わってパズルが完成されてみると、薬師丸ひろ子の女優開眼という全体図が、クッキリと浮かび上がってくるという寸法なんですね。
実際、この映画を見ていると、ドラマを楽しむことより、薬師丸ひろ子が現実の等身大の彼女から、女優という一オクターブ上がった存在へと変身するさまを見ることのほうが、よりスリリングですね。
そして、薬師丸ひろ子に背伸びをさせ、追い詰め、選択をさせ、ジャンプさせる脚本が、実にうまいと思います。
彼女を泳がせていると見せかけて、巧みに彼女を操っている澤井信一郎監督の演出も、実に見事だと思いますね。