旅芝居行進曲 作品情報
たびしばいこうしんきょく
熊本が生んだ花形スター、花田半次郎は25歳、座員15名を率いる旅回り一座の座長である。彼の荒削りな魅力に熱狂的なファンもおり、新しく座員になった川口洋子も、巡業に来た半次郎に一眼ぼれしてやってきたのだ。半次郎一座が出演している劇場へ、博多から松本千之介がやってくることになった。千之介と言えば九州一のドサ役者、客の入らない半次郎一座は明日にでも出ていかなければならない。夜、荷物をトラックに積み込んでいる一同の前に、真紅のキャデラックから純白のギンギラギンのジャンプスーツの千之介、続いて、大人の色香を漂わせた美女・花房マリが降り立った。翌日から半次郎一座は付近の神社の境内に陣取って興業を始めた。猛烈な宣伝合戦に、壮烈な演目合戦、それは千之介の女、マリに惚れた半次郎の敵愾心からでていた。客の入らない芝居に半次郎の父・団平は四苦八苦していた。半次郡はひいき筋の女をスタミナドリンクを飲んで回り、お金を集める。千之介も同じようなことをしていた。彼も博多で観客が入らなくなって一旦、熊本に出てきたのだ。興業主から吹き込まれてしまっている千之介は、東京でスターになることを夢見ていた。しかし、東京の興業主が眼をつけたのは半次郎だった。一時は東京進出に浮かれた半次郎も、マリが反対していると知って断念する。東京に出た千之介に、マリの面倒を見てくれと頼まれた半次郎は博多へ進出した。千之介が用意してくれたはずのホールは話が通っておらずビルの工事現場が掛け小屋となった。半次郎は夢中になってマリに尽した。マリは千之介が東京で失敗していると人伝てに聞いて酒をあおり、やってきた半次郎に「うちもドサの生まれよ! 父ちゃんは東京へ行って失敗して……」と語る。半次郎は『四つ綱』をやろうと決心した。客席10米上の綱の上でする極めて危険な芝居である。洋子はマリの力を借りて止めようとするが、マリは「あなたの力で止めなさい」と言うのだった。演し物は「佐賀の化猫」。工事中の圧搾機が動き始めるのと同時に半次郎の体は、真逆様に満席の客席へ落下していった。傷心の半次郎が一人淋しく熊本へ帰ろうとしたのは、体が直った二ヵ月後だった。ところがその車中、洋子を先頭に座員一同が笑顔で待っていた。熊本で盛大な歓迎をうけた半次郎は、もう一度『四つ綱』に挑戦し成功させた。
「旅芝居行進曲」の解説
旅回りの役者たちの姿を、一座の若き座長を中心に描く。脚本は杉村のぼる、沢竜二、高橋勝の共同執筆。監督はこの作品がデビュー作となるTV出身の高橋勝、撮影監督は「北の螢」の森田富士郎、撮影は渡辺貢がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1984年9月22日 |
---|---|
キャスト |
監督:高橋勝
出演:古尾谷雅人 阿木燿子 川島なお美 藤岡重慶 武藤英司 沢竜二 片岡長次郎座長 姫川竜之助座長 玄海竜二座長 玄海小竜座長 三河家桃太郎座長 大島謙太郎座長 中村登代治座長 恋しぐれ座長 美里英二座長 里見要次郎座長 市川千太郎座長 梅田英太郎座長 |
配給 | 松竹 |
制作国 | 日本(1984) |
上映時間 | 108分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「旅芝居行進曲」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。