白蛇抄 作品情報
はくじゃしょう
石立うたは、二年前、京都で火事にあい、夫を失って絶望のあまり若狭の心中滝に身を投じた時、華蔵寺の住職懐海に助けられ、そのまま後妻として寺に住みついていた。懐海にはひとり息子昌夫がおり、彼は出家ずみの身で来年高校を卒業すると本山に行くことになっている。ある日、華蔵寺にうたの遠い親戚に当るという十五歳の少女鵜藤まつのが引きとられてきた。この寺での初めての夜、まつのは異様な女の呻き声を耳にした。その声は隠寮から聞こえてきた。夜ごとうたの体に執着する懐海。それを覗き見する昌夫。彼はうたに惹かれていた。もうひとり村井警部補もうたが身を投げ救助された時に立ち会って以来、彼女に魅せられていた。投身の時、うたが抱いていた石骨の中味に疑問を抱いた村井は、石骨を取り戻そうとするうたに力づくで情交を迫った。その石骨はうたの死んだ赤ん坊であった。かけつけた昌夫は村井の後頭部に石を投げつけうたと共に逃げた。雨が降り出し、山小屋へ駆け込んだ二人はいつのまにか抱き合っていた。その日から昌夫は大胆になり、うたも日ごと昌夫の体に溺れていった。そうしたある日、懐海はうたと昌夫が密会している場所に動ける筈のない体を引きずっていって殺された。昌夫は本山に修業に出た。懐海の死に不信を抱いた村井は、まつのに死んだときの様子を問いただし、うたと昌夫が愛し合っていることを知った。うたは昌夫に会うべく京都に向ったが、昌夫もうたに会いたいために寺を飛び出していた。若狭に戻り、心中滝に立つうたの背後に村井が近づいて懐海を殺したのではないかと詰め寄った。口論のうち村井は足を滑らせて滝壷へ落ちた。華蔵寺に着いた昌夫にまつのは愛を告白するが、彼は振り切って外に飛び出した。そこにうたの姿が。本堂に走ったうたを昌夫は追うが、うたは「来たらあかん」と斧を持ちながら叫ぶ。斧を奪った昌夫が激昂してふりかざした下にうたは微笑みながら身体を入れてきた。血飛沫が舞った。昌夫も自殺し、心中を眼にしたまつのは本堂に火をつけた。
「白蛇抄」の解説
若狭の山寺を舞台に、そこに後妻として住みついた女と住職、その息子との愛を描く。水上勉の同名小説の映画化で、脚本は「南極物語」の野上龍雄、監督は「誘拐報道」の伊藤俊也、撮影は「陽暉楼」の森田富士郎がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1983年11月12日 |
---|---|
キャスト |
監督:伊藤俊也
原作:水上勉 出演:小柳ルミ子 杉本哲太 仙道敦子 鈴木光枝 宮口精二 辻萬長 北林谷栄 鈴木緑 南きよみ 三宅友美子 白石奈々 伊藤高 三重街恒二 大和田伸也 泉福之助 須賀良 田家幸子 高月忠 清水照夫 佐川二郎 伊藤慶子 町田政則 田口和政 村添豊徳 須藤芳雄 大島博樹 岡田奈々 夏木勲 若山富三郎 |
配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1983) |
上映時間 | 118分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「白蛇抄」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。