奴隸海岸 作品情報

どれいかいがん

一八七三年二月暴風雨をついて、ニュージーランドのオークランド港に、アメリカの捕鯨船ビルグリム号が入港してきた。これはウェルドン商会の所有船で、ハル船長によって指揮されていたが、同商会のオークランド出張所長ウォルビーは、滞在中のウェルドン夫人とその息子や従弟をサンフランシスコまで便乗させてくれるよう依頼した。出航直前、コックとして風来坊の黒人を雇いいれたが、これが実は脱獄囚であることを船長は知らなかった。ピルグリム号は航海の途中で遭難していた奴隷売買船からヘルクレスをはじめ多くの奴隷と一匹の犬を助けたが、その犬がいきなり黒人にかみついたので人々は不思議に思った。犬の首輪に彫りつけられたS・Vの二字を船長は不思議に思ったが、折柄発見された鯨を追うため船長は自らキャッチャーボートを指揮して船団を出ていった。鯨にひかれた船長のボートが視界から去ってしまうと、そのころ吹きはじめた順風のために、十五歳の少年ジャクはこの船の指揮をとることになる。黒人にコンパスを破かいされたことも知らずに、船は南米をう回して廿四日目にアフリカの南端アンゴラに到着したが、そこは奴隷売買人の基地となっていた。奴隷売買人の捕虜となった一行はウェルドン氏宛に身代金要求の手紙を書かされ、ジャクは毎日降りつづけている熱帯性豪雨が止むようにという祈りのいけにえに供せられることとなる。しかし、危機一髪のところを捕るのを免れたヘルクレスによって一行は助け出され、犬のジンゴによって導かれてきた一軒屋にはS・Vの字がきざまれていた。そこは、一八七一年十二月、黒人によってあざむかれたフランスの著名な科学者サムエル・ウェルノンの最後の場所だったのである。たたかいがはじまり、ハル船長のひきいる救助隊により奴隷売買人たちはほろぼされた。

「奴隸海岸」の解説

シナリオのG・グレブニエルは船員出身であり、そのため彼の作品には海を主題にしたものが多い。処女作は「四と五」(ガルジン監督)であり、「奴隷海岸」のジュラーワレフ監督とは「鷲の最後」ですでにコンビとなった。代表作として、プドウフキン監督が一九四一年に製作した「スウォーロフ」がある。監督のW・ジュラーワレフは前記の「鷲の最後」の他、「宇宙航路」等の冒険映画を専門に製作している作家である。主役のラリオーノフはモスクワ中学校在学中の十五歳の少年である。黒人にはアメリカの舞台で「オセロ」を演じて認められたウェイランド・ロードがふんしているが、彼はクレショフの「偉大なる慰撫」に出演して以来、ソヴィエートに帰化し「トム・ソーヤの冒険」その他に出演している。ウェルドン夫人のE・イズマイロフはジャック・ロンドンの「白い牙」「斥候兵の功績」等に出演しており、現在、モスクワのワフタンゴフ名称劇場の女優である。ヘルクレスのW・ロードはモスクワ・ドラマ劇場の敵役専門俳優である。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督W・ジュラーワレフ
出演ラリオーノフ A. Khirya M. Astangov E・イズマイロフ A. Messerev P. Sukhanov W・ロード
制作国 ソ連(1945)

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最終更新日:2022-07-26 11:03:56

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