P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-23
この映画「奇跡の丘」は、1966年度ヴェネチア映画祭にて審査員特別賞を受賞した、無神論者にして、マルクス主義者の鬼才・ピエル・パオロ・パゾリーニ監督が撮った、異色のキリスト伝映画だ。
新約聖書のマタイによる福音書を忠実に映像化しているが、ハリウッド製のスペクタクル史劇とは全く違い、イタリアン・リアリズムを踏まえて、荒涼とした砂漠でのロケによって、古代世界を再現していると思う。
また、イエス役には学生を、マリア役にはパゾリーニの実母スザンナを配するなど、既存の俳優を使わずに、無名の素人たちを起用しているのも斬新だ。
神を冒涜した映画という前評判を覆して、ヴェネチア映画祭で、聖書をテーマにした最も優れた映画だと絶賛されましたね。