ナック 作品情報
なっく
ロンドン。コリン(M・クロフォード)はあるテラス・ハウスの持ち主。三階を借しているトーレン(R・ブルックス)は若い娘には人気のあるドラマーで、女の子にかけては凄腕〈ナックの持ち主〉で、ひどいときには、彼の部屋には長蛇の訪問客がある。コリンは口惜しい。羨しい。なんとか〈ナック〉をものにしようと悩んだあげく、トーレンと同じ大きなベッドを手に入れようと考えた。一階に越して来たトムの入れ知恵である。鉄屑屋でみつけたベッドはひどい代物。それでも持って帰ろうとする彼等の前に、おかしな田舎娘ナンシー(R・トウシンハム)があらわれた。美人ではないが、女に縁のないコリンにとっては天使、道案内をかって出て車輪つきのベッドを押しはじめた。この作業の面白さから三人は意気投合、家に帰ってきたが、女に目のないトーレンが見逃すはずがない。彼がバイクで連れ出してしまった。スピードによる興奮と陶酔のあまり、田舎娘は失神してしまった。コリンやトムが追いついたとき、突然目を覚すと、「暴行!」と金切り声をあげた。弁解する三人を尻目に「暴行されたワ」と街中に聞える声をはりあげて家に帰り、腰を据えてしまった。トーレンがデートに出かけたあと、コリンはなんとか彼女の感違いを正そうと一生懸命。トーレンの方はどうしたわけか、すべての女性から爪はじき。トボトボ家に帰ってみると、どう風向きが変ったのか、コリンとナンシーがお熱い夫婦きどり。どうやら〈ナック〉とは、誠実な愛情をいうものらしい。
「ナック」の解説
アン・ジェリコーの舞台劇をチャールズ・ウッドが脚色、「HELP! 四人はアイドル」のリチャード・レスターが監督した新型のスラプスティック・コメディ。撮影はデイヴィッド・ワトキン、音楽は「007/ゴールドフィンガー」のジョン・バリーが担当した。出演は「蜜の味」のリタ・トゥシンハム、「戦艦デファイアント号の反乱」のレイ・ブルックス、「ナイスガイ・ニューヨーク」のマイケル・クロフォード、ほかにドナル・ドネリー、ウィリアム・デクスターなど。製作はオスカー・リュウェンスティン。“ナック”とは「熟練した技術、うまいやり方、コツ」といった意味があるがここでは、女の子をモノにしたり、カッコいいことをする“コツ”をいう。英、米国ではやった言葉。六五年度カンヌ映画祭グラン・プリを受賞している。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:リチャード・レスター
出演:リタ・トゥシンハム レイ・ブルックス マイケル・クロフォード ドナル・ドネリー ウィリアム・デクスター チャールズ・ダイアー Margot Thomas ジョン・ブルサル Helen Lennox |
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配給 | UA |
制作国 | イギリス(1965) |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-21
この映画「ナック」は、才人リチャード・レスター監督が、ビートルズ主演の2本の映画でも縦横に見せた、その調子っ外れな個性を大爆発させた、ごきげんな作品だ。
女性にモテたい男のドタバタを描いた物語だが、実は話の筋はどうでもいいのだ。
饒舌なセリフと無意味な映像の洪水の中から、映画と時代とを痛烈に風刺し、そのスピード感が、カンヌ国際映画祭で、映画好きの度肝を抜いて、見事グランプリを受賞したのだ。
それにしても、主演のマイケル・クロフォードの飄々として、つかみどころのない個性が光っていて、最高だった。