長距離ランナーの孤独 作品情報

ちょうきょりらんなーのこどく

ボースタル感化院へ送り込まれたコーリン(トム・コートネイ)は長距離レースの選手にされた。貧困な町に生れ育って十八年、見すぼらしい家を想い出すにつけ、社会の現実に大きな抵抗を思う。父親は僅かな週給のために汗水流して働き、癌でポックリ死んだ。母親は家計をやりくりしながらも色男と遊んでいた……父親が死んだときの給付金も豪勢に使ってやった。兄弟達もよろこんでいた……ガールフレンドのオードリー(T・ジェーン)と盗んだ車で週末旅行をやったのも楽しかった……ところが相棒のマイク(ジェームズ・ボーラム)とパン屋に押し入り、雨樋につめておいた隠し金が生憎の雨で流れ落ちて……つかまってしまった……。彼に特別目をかけて選手に仕立てた院長(マイケル・レッドグレーヴ)は、逃げ足の速い彼をレースで優勝させて感化院の名声を得ることを望んでいるに違いない。権力と威厳で屈従させる院長への反感は、レースが近づくにつれ、大きくなっていった。さて、レースの日。彼は案の定トップを独走している。院長はしごく得意げだ。ところが、期待を一身に集めた彼はゴール間近で、急にスピードを落し後のパブリック・スクールのライバルに優勝を譲った。これが霜のおりた凍てつく早朝にトレーニングをさせられた彼の淋しい孤独の勝利の小さな復讐であった

「長距離ランナーの孤独」の解説

「土曜の夜と日曜の朝」のアラン・シリトーの同名小説を彼自身が脚色、「蜜の味」のトニー・リチャードソンが製作・監督した反抗青年のドラマ。ウォルター・ラサリーが撮影を、ジョン・アディソンが音楽をそれぞれ担当した。出演は新人のトム・コートネイ、アヴィス・バンネージ、ジェームズ・ボーラム、アレック・マッコーウェン、ジェームズ・カンクロスほか。一九六三年マル・デル・プラタ国際映画祭賞、同年イギリス・アカデミー最優秀新人賞を受賞している。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督トニー・リチャードソン
原作アラン・シリトー
出演トム・コートネイ アヴィス・バンネージ ジェームズ・ボーラム アレック・マッコーウェン ダーヴィス・ワード ジェームズ・カンクロス ジョー・ロビンソン マイケル・レッドグレーヴ T・ジェーン
配給 昭映フィルム
制作国 イギリス(1962)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-06-19

このトニー・リチャードソン監督、トム・コートネイ主演の「長距離ランナーの孤独」は、感化院に送り込まれた若者が、クロス・カントリー・レースの長距離ランナーに選ばれ、ただひたすら走る話だが、その走る過程に、貧しい自分の生きた環境などを回想し、そして最後には、保守的なイギリスの権化みたいな、感化院長の顔を思い出し、あんな奴にハクを付けるために走るのはイヤだと立ちどまってしまう話だ。

リズム感あふれるランニングの中に、現代イギリスの若者の反逆の姿を描いた、"怒れる若者たち"を代表するトニー・リチャードソン監督の秀作だ。

最終更新日:2024-06-29 16:00:01

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