太陽はひとりぼっち 作品情報

たいようはひとりぼっち

ヴィットリア(モニカ・ヴィッティ)は婚約者リカルド(フランシスコ・ラバル)と重苦しい話しあいの一夜をあかしたすえ、彼との婚約を解消した。あとを追うリカルドをふりきって、彼女は一人になる。ブルジョアの彼との間にある埋めがたい距離をそのままに、結婚することは耐えられないことだ。彼女は証券取引所にいる母を訪ねる。株価の数字の上げ下げを追う狂騒的な取引所の雑踏の中で相場を張っている素人投資家の母は、彼女の話を聞こうともしない。女友達のアニタとマルタの三人で、深夜のアパートでふざけちらしてみても、空しさは消えない。アニタの夫のパイロットが操縦する飛行機にのってみても、倦怠の日々は少しも姿をかえはしない。ふたたび訪ずれた取引所では、株の大暴落がはじまっていた。彼女の母は投資資産のすべてを失ったすえ、大きな借金をせおいこんだ。巨額の金を暴落で一瞬にすべてを失った肥った中年男は、カフェのテラスで茫然と紙に草花の絵を描いていた。取引所には株式仲買所につとめる美貌の青年ピエロ(アラン・ドロン)がいて、前から彼女と時々言葉をかわしていた。この日を境に、二人は接近した。二人は町を歩く。公園、ビルの谷間、建てかけの建築物のある道、市場。そして二人は、ピエロのオフィスで結ばれる。抱きあって、話をかわし、笑い、やがて朝がきて、二人は別れる。「あした会おう、あさっても、次の日も……」。二人はキスして、別れていく。やがて電話のベルがオフィスに鳴りひびいて、新しい一日がはじまろうとしている。二人が散歩した公園もビルの街並も、建てかけの建築物のある道も、今日も少しも変らずにそこにある。しかし、新しくはじまった今日のどこが、旧いすぎさった昨日と違うのか。ヴィットリアは昨日と同じように、今日の中にまた歩みはじめる。

「太陽はひとりぼっち」の解説

「情事」のミケランジェロ・アントニオーニ監督作。脚本はアントニオーニ、トニーノ・グエッラ、エリオ・バルトリーニの「情事」組にオティエリが新たに参加、撮影は「太陽の誘惑」のジャンニ・ディ・ヴェナンツォ、音楽は「情事」のジョヴァンニ・フスコ。出演は「生きる歓び」のアラン・ドロン、「情事」のモニカ・ヴィッティ。製作はロベールとレイモンのアキム兄弟。一九六二年度カンヌ映画祭審査員特別賞受賞。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督ミケランジェロ・アントニオーニ
出演アラン・ドロン モニカ・ヴィッティ フランシスコ・ラバル リッラ・ブリグノン ルイ・セニエ ロッサナ・ローリ
配給 日本ヘラルド映画
制作国 イタリア フランス(1962)
上映時間 126分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-05-10

??倦怠と云う言葉の渦巻くモニカ・ヴィッテイの存在とアラン・ドロンの愛の誘惑,登場人物二人の消失した謎のラストシーン…。近代人の疎外を映像化しようと試みたミケランジェロ・アントニオーニ監督の名篇

最終更新日:2024-11-08 02:00:06

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