ありふれたファシズム 野獣たちのバラード 作品情報
ありふれたふぁしずむやじゅうたちのばらーど
この映画は十五章の物語詩形式である。--プロローグ--ファシズムの厖大な資料から意味深いものを選びだして、観客とともに考えていこうとするものである。☆突然ドイツ兵が子供を抱いた母親を射つ。多くの女子供が強制収容所へ引きたてられる。☆ヒットラー著「マインカンプ(わが闘争)」の本が作られ、箱に納められ千年の間御霊屋にしまいこまれる。☆ナチス・ヒットラー誕生までの経緯。ヒットラーが総統らしく振舞うための涙ぐましい稽古。☆そのころの世界各国首脳の動き。☆ヒットラー政権誕生当時のドイツ国内の狂熱。☆ナナス流種族理論の横行。☆ドイツ民族の強固な団結心、連帯感。☆演説をぶつヒットラー。総統らしいポーズを獲得し、その部下たちもサル真似。先輩ムッソリーニに習ったものだ。☆一番優れた芸術はパレードである。これを演出する男、ヒットラーのみごとな煽動。☆絶対の神、ヒットラーに従うすべてのドイツ人、昨日までの少年が、今日は見事に整列した兵士の中の一人になり、ヒットラーに宣誓する。☆別のドイツ労働者階級に対する血の粛清が行なわれた。☆子供が花束を捧げ、ヒットラーが抱きあげる感動的シーン。「大衆と接するには女に接する如くせよ、大衆は女と同じように力の強い者に服従したがるからだ」☆スペイン内乱をきっかけにドイツ空軍が出動、そしてあのゲルニカの悲劇へ……ワルシャワ爆撃。ついにソ連へ無警告攻撃開始。☆ソ連領進撃の兵隊たちが行なった残虐の数々。戦場にある人間の異常心理は人間として最も恥ずべき行為をなんの抵抗もなくさせてしまう。☆冬将軍到来、ゲッベルスは全面戦争の必要を説くが、ようやく人々の心に思考がよみがえる。ヒットラー最後の姿、少年兵を閲兵する。--エピローグ--いかなる時代に生まれようと、すくすくのびやかに育つ子供を、どう教育するかが我々の最も重要な課題なのである。
「ありふれたファシズム 野獣たちのバラード」の解説
これはファシスト・ドイツの記録映画であるが、単なる記録映画でなく、我々の心の中に巣食っているファシズムを白日の下にさらけだし、現在あらたに起り得るファシズムの世界を食い止めるための鋭い警鐘である。ヒットラーの狂気は、平凡で善良な個々のドイツ人の日常的狂気の集約であり、ヒットラーただ一人が個性をもった人格者となり、ドイツ人に思考停止がはじまり、行動するロボットとなって、世界史上まれに見る悲劇が引き起こされたのである。--監督は「十月のレーニン」のミハイル・ロンム、脚本はミハイル・ロンム、マイヤ・トウロフスカヤ、ユーリー・ハニューチンの共同執筆、撮影は、ゲルマン・ラウロフ、日本語版解説は宇野重吉が各々担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1971年10月1日 |
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配給 | 月の輪映画=日本海映画 |
制作国 | ソ連(1965) |
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