おーい、応為 作品情報
おーいおうい

江戸時代。天才絵師として名を馳せた葛飾北斎(永瀬正敏)の娘・お栄(長澤まさみ)は、ある絵師に嫁ぐが、格好ばかりの夫の絵を見下したことで離縁となり、父の下へ出戻る。父娘にして師弟。描きかけの絵が散乱したボロボロの長屋で始まった二人暮らしだが、やがて父親譲りの才能を発揮するようになったお栄は、北斎からいつも“おーい!”と呼ばれることから、“葛飾応為”の名を授かり、一人の浮世絵師として時代を駆け抜けていく。美人画で名を馳せる絵師であり、お栄のよき理解者でもある善次郎(高橋海人)との友情、兄弟子・初五郎(大谷亮平)への淡い恋心、そして愛犬のさくらとの日常……。嫁ぎ先を飛び出してから二十余年。北斎と応為の父娘は、長屋の火事と押し寄せる飢饉をきっかけに、北斎が描き続ける境地“富士”へと向かうが……。
「おーい、応為」の解説
女性絵師として江戸の世を駆け抜けた葛飾北斎の娘・お栄の生涯を描いたドラマ。離縁されて出戻った葛飾北斎の娘・お栄は、ボロボロの長屋で父と師弟として暮らすうちに、父親譲りの才能を発揮する。やがて“葛飾応為”の名を授かり、世に出るが……。出演は「ドールハウス」の長澤まさみ、「箱男」の永瀬正敏。監督は「MOTHER マザー」の大森立嗣。原作は飯島虚心の『葛飾北斎伝』、杉浦日向子の「木瓜」「野分」(『百日紅』所蔵)。
公開日・キャスト、その他基本情報
| 公開日 | 2025年10月17日 |
|---|---|
| キャスト |
監督:大森立嗣
原作:飯島虚心 杉浦日向子 出演:長澤まさみ 高橋海人 大谷亮平 篠井英介 奥野瑛太 寺島しのぶ 永瀬正敏 和田光沙 吉岡睦雄 早坂柊人 笠久美 一華 小林千里 |
| 配給 | 東京テアトル=ヨアケ |
| 制作国 | 日本(2025) |
| 上映時間 | 122分 |
| 公式サイト | https://oioui.com |
(C)2025「おーい、応為」製作委員会
おーい、応為のロケ地
予告編動画
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ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、2件の投稿があります。
P.N.「鎌倉の御隠居」さんからの投稿
- 評価
- ★★★☆☆
- 投稿日
- 2025-10-19
蔦屋重三郎話題の年に、北斎とその娘、応為を主役とする一本。便乗企画と称されても仕方ないことを重々承知の上でのクランクインだったろう。観る側も、話題への関心と全く別物とは捉えにくい。監督・脚本の大森立嗣は10年前からの企画だと取材に応えているが、具現化には蔦重が後押しになったことは間違いない。 かかる環境下、どう映画化するのか。応為に長澤まさみ、北斎に永瀬正敏と知らされ、大森立嗣の立ち位置に従前から興味を有しているファンは気になること必至。当然である。 冒頭は、唐突に応為の啖呵、夫への非難、口撃。いきなり、こんな感じなのか、と思いきや、それ以降、終幕までひたすら緊迫した精神的対峙感の連続。妻であり母を寡黙に演じる寺島しのぶ、北斎の弟子筋に扮した大谷亮平、髙橋海人、長屋の隣人篠井英介、北斎への当主の命を請けた使者を奥野瑛太と人の出入りはあるものの、画面の基盤は、終始、応為と北斎との魂の対話劇。映画というより、二人による舞台劇に惹き込まれるような建て付けである。それに親和力を伴い添えられる旋律は大友良英のジャズテイストで、それらが時に緊張を破り応為の内面の起伏を音像化する。監督と同世代の辻智彦のカメラによる富士を背にした画角も物語の説得力を深めている。観ながら、唸らざるを得ない。 明快な仕上がりでは決してない。それでも2時間をやや超える画面に横溢する集中力は、いささかも弛むことなく、観客に鋭く突き刺さり、それが誠に心地よい。作中内に散見する北斎、応為の名高い作品群にも、ハッとさせられる。 芸達者ふたりに圧倒されるばかりの、熟度高い、佳品である。




