P.N.「トムとコンキチ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2025-07-13
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
真夏の長崎が舞台の作品。今年の観測史上最早の梅雨明けをまるで予知していたのかと思った。
最愛の息子を水難事故で亡くし、妻にも愛想をつかされ荒んだ生活を送る中年男の前に、薄幸の姪っ子が突如現れ奇妙な二人の生活が始まる。そして、ストーリーの中で徐々に明らかにされる、主人公の悲惨な境遇に共感し思わず感情移入させられた。
どん底の生活(境遇)から立ち上がろうにも立ち上がれない男の悲哀。まさに「夏の砂の上」という映画のタイトルがぴったりである。突然の夕立が思いもよらぬラストシーンを引き起こすが、その潤いもあっけなく夏の砂に吸収されていく。そして再び乾いた大地を真夏の太陽が容赦なく照らし続ける。