ニュールンベルグ裁判 作品情報
にゅーるんべるぐさいばん
アメリカの地方判事ヘイウッド(スペンサー・トレイシー)が裁判長に任命されてやって来た法廷は、ナチス首脳部の戦争裁判に次いで行われたものだけに世間の関心は多分に薄れていたが、ヘイウッドは正義に基づいた裁判を行うことを誓った。被告の1人ヤニング(バート・ランカスター)は世界的に知られた法律学者で、かつて司法大臣として第三帝国憲法の起草に加わった過去を持っていた。アメリカ側の検事ロースン(リチャード・ウィドマーク)は、これら法律学者たちがヒットラーに迎合してドイツの法律を改変し無実の大衆をテロの恐怖で虐待した責任を糾弾した。対するヤニングの教え子であるドイツ人のロルフ弁護人(マクシミリアン・シェル)は激しく反論した。もし被告たちに罪が認められるなら、全ドイツ人も同じ罪に問われなければならないと言う熱弁に弁護された被告たちは、罪状認否の問いに無罪を主張したがヤニングはなぜか沈黙を守っていた。ロースン検事は断種の犠牲者ペータースン、ユダヤ人と関係があったために悲惨な半生を過ごしてきたホフマンを証人に立てたが、ロルフ弁護人の反対尋問も鋭かった。ヤニングが発言を求め、かつてのホフマン事件はナチスの罪悪であり、自分にも責任があると述べて法廷を大きくどよめかせた。一方、ヘイウッド裁判長は、ヤニングの筆になる法律書を探して読み、彼の法律学者としての偉大さにうたれた。絞首刑になった将軍の未亡人ベルトホルト(マレーネ・ディートリッヒ)から、彼がヒットラーにしばしば苦言を呈していたことも聞いたが裁判に影響させてはならないと決意した。検事側は最後の証拠として被告たちが不法な逮捕や監禁の法令に署名した書類や大量殺人のフィルムを提出して裁判はいよいよ大詰めを迎えた。ヘイウッド裁判長は被告たちに最後の発言を求めた。だれもが無罪を主張する中にあって、ヤニングだけは自らの罪を認めた。判決は全員に有罪、終身刑だった。それは正義と法の尊厳のための厳しい宣告だった。帰米前のヘイウッドが訪ねた獄中で、ヤニングはヘイウッドの裁判長としての態度と判決を賞賛した。
「ニュールンベルグ裁判」の解説
アビー・マンの原作のテレビ・ドラマを原作者自身と「渚にて」のスタンリー・クレイマーが共同脚色し、クレイマーが製作監督した異色の法廷劇。撮影は「ガン・ファイター」のアーネスト・ラズロ、音楽は「栄光への脱出」のアーネスト・ゴールドが担当。出演者はスペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、モンゴメリー・クリフト、マレーネ・ディートリッヒ、ジュディ・ガーランド、マクシミリアン・シェルなど。
公開日・キャスト、その他基本情報
配給 | ユナイテッド・アーティスツ |
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制作国 | アメリカ(1961) |
上映時間 | 179分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-02-05
この映画「ニュールンベルグ裁判」は、日本公開の時、あまりにもセリフが多く、また法律用語が難解なため、吹き替えにしたら、それが不評で、オリジナル言語尊重論が叫ばれた有名な作品だ。
スペンサー・トレイシー、バート・ランカスター、この映画でアカデミー主演男優賞を受賞したマクシミリアン・シェル、モンゴメリー・クリフト、リチャード・ウィドマークらの豪華キャストによる戦争裁判劇で、ナチの行った犯罪を、被害者の口から語らせるという方法が、ドラマティックな効果を上げていると思う。
また、小林正樹監督のドキュメンタリー映画の秀作「東京裁判」にも共通する、戦勝国が敗戦国の戦争犯罪を裁くことは、正義か否かの問題が問われた意味も大きいと思う。