サルバドル 遥かなる日々 作品情報
さるばどるはるかなるひび
フォト・ジャーナリストのリチャード・ボイル(ジェームズ・ウッズ)は、サンフランシスコのアパートを追い出され、しかもスピード違反と免許証不所持から刑務所に入れられてしまった。その刑務所で失業中のDJドクター・ロック(ジェームズ・ベルーシ)と知り合い、彼と共にサルバドルへの旅に出る。エル・サルバドルに入った2人はいきなり殺されそうになるが、ボイルがフィゲロア大佐(ジョルグ・ルーク)を知っていると話したことから死を免れた。が、大佐に会うはめになる。彼は“セデューラ”(出生証明書兼投票用紙)を持たずゲリラのシンパである可能性をもつ学生は処刑してしまうという怖ろしい人物だ。80年における不安定なエル・サルバドルの政情について知る2人。軍隊はマクシミリアン・カサノヴァことマックス少佐(トニー・プラナ)が動かす“死の分隊”と左翼のゲリラの双方に分裂、政府議会は、何の力ももっていなかった。リベルタドでかつての恋人マリア(エルペディア・カリロ)と再会し海岸の家で共に暮らし始めるボイル。首都サン・サルバドルでフォト・ジャーナリストのジョン・キャサディ(ジョン・サヴェージ)と出会い、ボイルの中に忘れられかけていた、生と死の感慨が甦ってきた。ゲリラについての取材を思いついたボイルはそのための準備を開始する。しかし、マリアの15歳の弟カルロスが行方不明になり、カルロスを救うために、ボイルとマリアの結婚が必要となる。式の途中マックス少佐の放った刺客に大司教が銃で撃たれ、記者会見でマックス少佐に対して大胆な質問を浴びせたボイル。その結果カルロスが殺され、ショックを受けたマリアは彼の許を去っていった。“死の分隊”の残虐さはエスカレートしてゆき、その殺人が政府にからんでいること知ったアメリカ大使のトム・ケリー(マイケル・マーフィー)は合衆国のすべての軍事援助を打ちきった。やがてサンタ・アナでマルティが指揮するゲリラ軍が蜂起。ケリーに政府軍への援助が再開されフィゲロア大佐の車は逆襲にでる。銃撃に倒れたキャサディは、最後に撮ったフィルムをボイルに託す。マリアと再会し彼女らとサンフランシスコに向かうボイル。一度難関を突破する彼らだったが、再び足どめを余儀なくされる。そしてマリアたちが違法入国者とみなされ、別れねばならないのだった。
「サルバドル 遥かなる日々」の解説
4つの大陸の戦線で報道取材に命を賭けた男の姿を描く。製作はジェラルド・グリーン、エグゼクティヴ・プロデューサーはジュン・ダリーとデレク・ギブソン、共同製作・監督は「プラトーン」のオリヴァー・ストーン、脚本はストーンとリチャード・ボイル、撮影はロバート・リチャードソン、音楽はジョルジュ・ドルリュー、編集はクレール・シンプソンが担当。出演はジェームズ・ウッズ、ジェームズ・ベルーシほか。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1987年10月17日 |
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配給 | ワーナー・ブラザース映画 |
制作国 | アメリカ(1986) |
上映時間 | 122分 |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2024-06-13
この映画は、「プラトーン」の前にオリヴァー・ストーン監督が撮った映画だ。
ストーンと共に原作・脚本を書いたのは、リチャード・ボイル。
ベトナム、北アイルランド、カンボジア、ニカラグア等の動乱の中へ身を投じ、己が目で見た戦争や革命の実態を報道し続けてきたジャーナリストだ。
この映画は、1980年に動乱のエル・サルバドルに潜入したボイル自身の発案である。
主人公にもボイルの名前が使われている。
と言っても、主人公を決してヒロイックには描いていない。
主人公は、ふしだらな生活を送っている青年。
仲間を誘って、エル・サルバドルへ飛んだのも、そんな生活を清算したかったからなのだ。
彼は思想的に、右でも、左でもない。その彼が、エル・サルバドルの現実を見る事によって、動乱そのものが、狂気の殺戮であるという事を知る積み重ねが凄い。