P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-14
遅すぎる初潮を、学校のシャワールームで迎えたキャリーは、狂信者の母からは、性的な成長を罪悪視されて育ち、クラスでは虐めにあっている超能力者だ。
恒例の学園のダンス・パーティへの出場を、キャリー虐めが原因で禁じられた生徒は、その恨みから、キャリーに豚の血を浴びせ、ここでキャリーの破壊的な超能力が爆発するのだった-------------。
このブライアン・デ・パルマ監督の「キャリー」は、公開当時のオカルト映画の流行の波に乗って製作された作品だ。
と言っても、ここにあるのは、青春学園ドラマの瑞々しい輝きだ。
薄幸の少女キャリーの超能力が、母や学友に虐めぬかれた末に、思春期特有の繊細で、昂ぶった感情が爆発したものに見えるところにも説得力があり、キャリーを演じるシシー・スペイセクの年齢を超越した”若さ”と”奇妙な味”には、ただ唖然とさせられる。 このシシー・スペイセクの演技は、後のデ・パルマの作品を考えてみると、彼の演出力によるものというよりも、むしろシシー自身の演技力によるものだと思う。 デ・パルマがその本領を発揮するのは、巧みに積み上げられる恐怖シーンや、的確に表現されている思春期の少年少女が持っている残酷さだ。 そして、最後の最後にある衝撃のシーン。 ここには、青春の持つ無知と、残酷さに対する復讐の思いが塗り込められていると思う。